EverLearning!

モチベーションワークス株式会社 および 一般社団法人iOSコンソーシアム 代表理事 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

誰でも出来る、大人たちの教育参画方法とは

 参院の選挙戦が始まりましたね。ネット選挙解禁ということで、Twitter等を用いた情報展開などが目新しかったり、某居酒屋の候補を比例代表で復活当選させない為の方法なんてのが出回っていたりと、いろいろ先行きが気になる選挙ではあります。

 さて、その選挙戦に先立ち、とても面白いイベントがオンラインでは行われました。未成年が政治家に対してモノ申す「Teens Question」。これは、福岡県在住でVJやラジオ出演をこなし、高校生の「社長」でもある吉田拓巳さんが都合8日間で立ち上げた「Teens Opinion」という企画内で実施されたもの。10代の若者から集めた政治に関する質問を、ホンモノの政治家にぶつけようという企画です。↓詳細
http://teensopinion.jp/events/20130703


「若者の政治参加は大事、って政治家の皆さん言いますけど、肝心の公約やマニフェストは高齢者向けのものばかり。結局、若者が~ってのは口だけなんですか?」

など、政治家もぐぅの音も出ない素晴らしいツッコミが多数ぶつけられた模様。
そんな様子をレポートした以下の記事は必見。痛快です。

http://news.livedoor.com/article/detail/7826303/?_from=tw


私はこの吉田さんのお話を今年の2月、渋谷で行われたLife is Tech主催のイベントで実際に拝聴する機会に恵まれた、以後Twitterでも彼のアクションをフォローしていますが、毎度毎度、唸らされます。すでに「高校生」という枠を超えて一人の人として尊敬しているのですが、そういった「スーパー中学生」「スーパー高校生」が次々に出てきているのを頼もしく感じています。


 さて、教育ブログということでいつものようにここから教育関係の提言にもっていくわけですが(え、いらない? まぁそう仰らずに…)

 最近、私がとみに感じているのは「大人達は年下の意見をもとに”行動”すべし」です。
いつも思うのですが、よく「若手の意見を参考にする」「聞き入れる」という意識だけは持っている(それに重要性を感じている)大人は相応の数いるのですが、「いいね!」で止まっていることが多い。その提言や行動を実際に「やってみる」人って本当に少ない。たぶん、自分の子どもや教え子だったら、そういう話を聞き入れるケースもあるんだろうけど、それ以外、例えば、SNSやメディアなど様々な手段を使って情報発信をしている年下の人たちのとなると、どうでしょうか?

 年下の人や子ども達に対する「承認」を積極的にするのはもちろんの事、薦められたものを実際に自分も試してみる。そして実感して、そこから一緒に行動したり、支援したりする。これは、子ども達の「成長」を産む、どんな大人でもできる最高の行為だと思うのです。

 実際、私はご存知スーパー中学生、山本 恭輔さんの提言「創造力を育む3つのプロセス」を今、愚直に実践しています。その3つのプロセスとは、
 ①情報を集め、共感する。「自分もやってみたい!」と感じる。
 ②ICTツールを上手く活用して、試行錯誤を繰り返し、「付加価値」を与える。
 ③出来上がった成果物は、広く公開し、アピールする。
というもので、電子書籍の出版準備がこのプロセスそのものです。

 山本さんは、自分の足で教育にICTを活用している人たちを取材しに行きました。そして、その内容をiBooks Authorで記事に纏めて、誰でも無料でダウンロードできるようにしました。まさに①〜③を実施した一つの例です。しかもまだ、国内でiBooks Authorが登場したばかりの頃の話です。

 私もこの話を知ったとき、実際にいくつかの学校を取材して「記事」という成果物を持っていました。そして「自分もやってみたい」という①の状態にありました。が、なんとなく彼の後追いのようで気が引けていた部分もあったのですが、Facebookで「これまでのレポートの書籍化って需要あるのかなぁ」とつぶやいてみたら、真っ先にその山本さんが「是非!」とエールを送ってくれたのです。このタイミングで書籍化を決意したと言っても過言ではありません。

 そして、今はまさに②の段階で、なるべく多くの試行錯誤を繰り返し、付加価値を与える作業に夢中になっています。書籍では多数のアプリの紹介が含まれていますが、そのアプリ名をiPad上でタップするとすぐにアプリのダウンロードページに飛びます。また、読者が入っていきやすいようにイントロダクションに漫画を入れたり、多くの先生が提供してくれた動画コンテンツも取り込んでいます。ダウンロードしてくれた人たちに「このクオリティで無料なんて!」と驚きを与えたいと思って頑張っています。③の状態に持っていくのがすごく楽しみです。

 これはまさに、「いいね!」で終わるのではなく、若手の提言を「実際に自分がやってみる」という行為です。そこには提言に対するものすごい「実感」があり、話をきいて「たしかにそうかもしれないなぁ」と漠然と考えていた時よりも、遥かに多くの気付きがあります。

 私たち大人は、ともすれば、あれはダメ、これもダメ、でも「大人の事情」を盾に理由はうやむや、ということをついやってしまいがちです。
 しかし、いろんな不安を超えて、まずやってみる、実践して、実感する。それを、提案した人に伝えて、一緒に喜びをシェアする。これこそが、大人達がだれでもできる、若手や子ども達に対する最大の「教育行為」なのだと思います。

 ということで、まずは大人の皆さん、子ども達、若手達の提言を素直に聞き入れて、新しい視野を獲得する事を頑張ってみては如何でしょうか。今回の選挙戦は、そのいいきっかけになりそうな、そんな気がしています。