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EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

iPadが教育分野に強い理由と、次期モデルへの期待

本日は「新型iPad発表か?」と予想されているAppleのイベントを前にしてiPad×教育分野 に関する考察をちょっと書いてみようと思います。
当方はiPadの教育分野での活用事例を集めた180ページの無料の電子書籍(現時点ではiPad専用)を公開中(←ClickでDLページへ)で、これに関連して色んな事例を見てきたのですが、現時点(2013/10/19)では教育現場で使われるタブレットデバイスとしてiPadはBestな解といって差し支えないでしょう。
理由は色々とあり後述しますが、先日当方がFacebook等を通じて呼びかけた学校の先生向けのアンケート(母数約100、ただしFacebookなどITリテラシーが高めな先生達の回答が大半という点は留意が必要)では、実に約7割が「一人1台常時利用可能な環境下で導入したい」という意向を示しています。

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同じタブレットでもWindowsやAndroidとはトリプルスコア以上の差がついている理由は何なのでしょうか?

そのヒントになりそうな記事がIT Mediaに掲載されていますので紹介致します。
教育×iPad と言えば絶対に外せない、袖ヶ浦高校 永野先生、広尾学園 金子先生、株式会社 俊英館 (塾) 小池先生の3名の対談です。この中で特に【中編】にてiPadに関する3氏の主張が読み取れます。

中編:授業のプロが語る、「生徒の感性に届くタブレット」の条件とは?

※参考として前編/後編も貼っておきます
前編:教育機関3者が明かす、タブレットの授業利用で直面した課題とは?
後編:タブレット授業利用のプロ3者が語る、「端末は生徒が購入」が理想な理由

こちらの記事では、「スペックではなく”感性に訴える使用感”が大事」とされていますが、その点ではApple製品のタッチパネルは初期のiPhoneの頃から、追従性や滑らかさが群を抜いている事は周知の事実かと思います。
また「タッチに最適化されたUI」という表現も出てきていて、二本指で画像を回転させるとか、ピンチイン/アウトで拡大縮小ができるとか、そういった「直感的な操作性」はまさにAppleiPhoneに合わせて「再発明」したと言えるでしょう。

この他、iPad支持の理由について、当方がFacebook上で主催している教育関係者向けグループ「e × e(イークロスイー)」では
・色再現性が大変良く、医療/販売の現場でそれが導入の決め手になったケースが有る
AndroidやWindowsと比べてセキュリティのリスクが少ない
・アプリがAppleの審査を通っている安心感
・アプリの量が豊富で品質もかなり高い物が多い
・ハード+アプリ+セキュリティのトータルで考えると実は安価
・実は意外にも頑丈
・アプリ同士の切り替えが高速
・フリーズしにくい

といった色んな切り口のコメントがありました。どれも実際にユーザーとして「うんうん」と思う事ばかり。ちなみに当方の自宅にはNexus7もありますし、他のWindowsタブレットも使用した事が有りますが、これらは明らかにiPadが有利な点でしょう。

しかし、実はiPadが現時点でBestな解である一番の理由は、私はこれだと思っています。
・電池の持ちの良さ

これは当方の電子書籍の中でも紹介した、名古屋の小学校で実践を行っている先生も仰っていましたし、上記のITMediaの記事でも言及があります。しかし、重要なのはカタログスペックである「10時間のバッテリー持続時間」ではありません。
iPadの本当に優れている点は
「スリープ中に殆どバッテリーを消費しない」
この点に尽きると思います。
昨年、当方はiPad miniとNexus7をほぼ同時期に購入して実験をしてみました。どちらもWiFiのみONにし、スリープ状態のまま自宅に半日放置したところ、iPad miniはせいぜい1-2%くらいしか電源ゲージが減っていない一方、Nexus7では25%以上の電池消耗がありました。これはバックグラウンドでの通信の有無が大きく影響しているものと思われます。
常時株価や天気など最新の情報をバックグラウンドで取得することが出来るAndroidが便利な事は多々有りますが(私は今もスマホは両方併用中)、学校教育の現場においては別にバックグラウンドで通信してもらう必要があまりない。(むしろ好都合)

しかもこの「スリープ中はあまり電池が減らない」という点は初代iPadの頃から実現されており、この点に限って言えばAndroid/Windowsタブレットよりも数年前に何歩も先を行っていたと言えるでしょう。

ただ、この話をするとよく「Androidもタスクキラーやバックグラウンド通信を制御するアプリを追加するとだいぶ改善するよ」という反論が来るのですが、教育現場でこういうツール類をアドオンするには、
・まずそのアプリが問題ないものか確認し
・インストールを許可し(生徒によるインストールが禁止されている学校もある)
・現行環境への影響が無いかも充分チェックする
 (アプリが特定の通信をブロックしてしまう事があるため)
といった手間が必要なので、デフォルトでスリープ時に電池が減りにくいiPadはそれだけで大幅に有利なのです。
良くも悪くも、アプリがOSの根幹部分を操れないように「制限」されているiOSの仕様が教育分野にはとてもマッチしていると言えます。
 
ただ、今後もiPadがこうした有意点を持ち続けていられるかというと微妙な所です。
その理由はiOS 7。様々な刷新が図られたiOS7は、基本的に使い勝手は向上しているように感じるものの、一部でバックグラウンド通信を許容する設定が登場したことや、OSそのものの消費電力要求が上がっているためか、以前よりもバッテリーの持ちが明らかに悪くなりました。特にスリープ時の消費電力が上がっています。私はバックグラウンド通信を切る設定にしているのですが、それでも以前より明らかにスリープ中の電池の減りが早くなったと感じます。

一方でAndroidの最近の機種には「電話とメール以外は使えないようにする」モードに切り替えられるような機能が付いたり、全体的な消費電力削減の工夫の積み上げによってiPadの電池持ちの優位性が相対的に低下しつつあります。

さらに、先に挙げたiPadが「フリーズしにくい」という有意点についても、iOS7はフリーズこそ無いものの、まだまだ動作が不安定。Facebookで画像の多いウォールを閲覧していたり、アプリを同時に多数起動中にタスクを切替える時などに高確率で「アプリが落ちる」経験をしています。(iPhone5s、iPadmini(iOS7) ともに)
また、iPadではありませんが、iPhone5sに限って言えばこれまで3回ほど「ブルースクリーン表示直後にOS再起動」という経験をしており、同様の経験をしたユーザーも多数報告されているようです。この問題は64bit化した「A7」というCPUに起因しているという分析もあり、となると同様のCPUが搭載される可能性の高い新型iPadでも同様のリスクがあるかもしれません。
参考:iPhone 5s に”Blue Screen of Death”特定の動作でOSが再起動

まもなく新型iPadが発表され、近日中に発売も始まるかと思うのですが、こうしたOSの問題は早期に解消してほしいものです。特に教育用途の場合、途中まで作っていた成果物が、アプリやOSが落ちることで失われてしまうととても困る。タブレットが限られた授業時間の有効活用どころか、足を引っ張る存在になってしまいます。
(そういう意味では教育現場のiPadはまだiOS7にしない方がよいのかも知れません・・・)

個人的に期待しているのは、前も書きましたが現行よりもサイズのより「大きい」iPadで、画面を2分割して同時に複数のアプリを並べて使えるモデルなのですが…ちょっと難しいかなぁ。折角なので競合が少ない、12~13型の市場をiPadには是非とも開拓してほしい。
(デジタル教科書が本格的に入ってくると、iPadには常に”教科書”が表示されていて、他の作業をする時には切り替えが必要になる。かつ、”教科書を見ながらなにか作業する”という行為が致命的にやりにくくなるために、こうした仕組みが欲しいなと思っています)


また、新型iPadは画面サイズを保ったまま、より小型軽量化するという噂がありますがここにも期待したいです。特に教育分野で中心的な9.7型はもっと軽くなってほしい。画面サイズの差や利用シーンなどから直接的なライバルとは言えませんが、Amazonの「Kindle Fire HDX」の8.9型は374グラムと相当な軽さを実現しつつ、画面解像度をiPad以上に向上させてきました。現行iPadはRetina(9.7型)が652gですので実に43%相当も軽いことになります。この差は大きいですよね。miniは競合の状況からして、Retina化しないと厳しいでしょう。

いずれにしても、私もAppleの商品発表の前にはとてもワクワクしていて、翌日は寝不足になっている人の一人。iPadに限らず、様々な驚くべき新製品(iWatchとかiBoardとか)が飛び出す事も期待しています。
(あと、より薄くて軽いMacBookProも是非宜しくお願いします)

 

まったくの余談ですが、最後に個人的に「いいな」と思ったVAIOの最新モデルのPVを紹介しておきます。
iPadは確かに優れた製品ですが、長時間の編集や資料作成には向かず「一台あればなんでもOK」というものではありません。その点、こちらは(まだ様々な課題は包含しているとは思われますが)両方の側面としての利用ができる可能性を感じます。
31秒のあたりから教育関連のシーン(Appleへの対抗心を感じる)が登場しますが、個人的にはソフトや使い心地、バッテリ持続時間などの要素が追いついてくればこれも「アリだな」と思った次第です。高校生・大学生にはこうした要素は必要だと思います。