EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

教育基本法をツッコミながら読んでみた

先日、Facebook上でこれまで教育基本法や学習指導要領をきちんと学習したことがないことを告白しました。「既存知識に捕われない自由な発想で教育を考えたい」という考えで避けて来たのですが、多くの教育関係の方から「触れておいて損は無い」「やるやらないで悩むならやるべき」という声を多数頂きましたので、遅ればせながら学ぶ事にしました。
どうせ学ぶなら学びのログを残そうと思い、今回はGoodReaderを使い、iPad上で線とコメントを入れながら読んでみました。数年後に振り返るときに面白い気づきになる、と。まずは教育基本法から読みました。「教育の在るべき姿を示した”理想”」であることが分かりましたので、「理想」と「現実」の乖離部分である「課題」を明確にしようという観点でコメントを書き入れながら読みました。
折角なので、自身が継続する動機付けも兼ねてこちらに転載してみます。★が赤でマークした部分に対して自身が思った事を率直に書いた部分です。

 

教育基本法


 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
★残念ながら自分は義務教育中に学校で新しい文化の創造が生まれる所を見た事が無い…。むしろ、個人で先の単元を学習しようとすると怒られるような同質化の影響を受けたように思うが…
 ここに、我々は、日本国憲法 の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。 

 

   第一章 教育の目的及び理念

 

(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
★学校での「教育」が人格の形成に寄与した気が殆どしない。学校での生活や友達づきあいが人格に影響を与えた部分は多々あるけど、家庭の割合が高いような。あと、自分が教わった先生の人格が「完成」されていたとも思えなかったなぁ…

 

(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
★学校では真理よりも解法や試験対策を学ぶことの方が多かったように思う。もちろん多くの先生は「考える重要性」を解いていたが、それと授業がリンクしていないケースが多く感じた。特に高校。
二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
★先も触れたが個人的には「個性」が伸びたという印象がない。むしろ「同質化」で空気を読む事や、「正解以外は悪」という風潮にどっぷり染められた印象。特にアメリカから帰国した直後に「不正解」をクラスメート同士が罵るような光景を見て唖然としたのを思い出した。
三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 

生涯学習の理念)
第三条  国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
★なんてこった、何十年も前に制定されたものなのに、インターネットがこれだけ普及した今でも未だ「あらゆる機会」「あらゆる場所」での学びが実現できていない。

 

(教育の機会均等)
第四条  すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
★この「能力」って誰がどういう基準で決めたんだろう。いまの教育って偏った尺度によって「能力」を勝手に決めつけられて、教えられる内容が制限されている違和感を感じるんですが。
2  国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3  国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
★この「能力」も気になる。逆に能力が無いと決めつけられたら奨学の措置は講じなくてもいいの?能力開発的な既定があってもいいんじゃない?

   第二章 教育の実施に関する基本

 

(義務教育)
第五条  国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2  義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
★義務教育で”社会”における自立性が学べた気がしない。高校、大学はまだしも、義務教育と社会の連続性はとても弱いのは課題だよなぁ。
3  国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

 

(学校教育)
第六条  法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2  前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
★残念ながらできているのはその前の「規律を重んずる」ところが重点で、「自ら進んで学ぶ意欲」はもっとも放置され続けた問題のような。学びのデザインを基本的に「勉強ができる人」が進めているのが問題なのか、子ども達の意欲の根源がきちんと分析されないまま「性善説」で議論が為されて来た結果なのか。

 

(大学)
第七条  大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
★これ、「やったつもり」になっている大学、いっぱいありますよね。卒論すら書かなくても卒業出来る大学もあるというし。また、卒論・修論を大学の図書館に蔵書しただけで「社会に提供」したと思ったら大間違い。関連知識を学びたい人の手が届きやすいところに提供し続ける事を、大学がどの程度やっていることだろうか。
2  大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。

 

(私立学校)
第八条  私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

 

(教員)
第九条  法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
★この既定が様々な教職員の労働環境の改悪のエクスキューズになってませんか。
2  前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
★「学校の先生=ブラック」なんて言われる現状は 教 育 基 本 法 違 反 ですね!

 

(家庭教育)
第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
★この文面が存在する事は保護者に対して広く認識してもらった方がいいですね。特に子どもの自立心の育成の下りも。
2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
★こういう既定が教育基本法にきちんと明記されていることに感動した一方で
ま っ た く で き て い な い の が 現 状 ! ! 保護者に対する教育、ほんとうになんとか出来ないもんですかね。特に情報リテラシー関係…

 

(幼児期の教育)
第十一条  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
★「幼児期」に保育レベルが含まれるか分かりませんが、そうだとしたら都市部の待機児童問題なんかはまさに「振興に努めなければならない」という一文を犯しているといえるなぁ

 

(社会教育)
第十二条  個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
★個人や社会から「要請」されて行うのではなく、国や自治体が自ら問題を認識して動いて欲しいのですが。
2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

 

(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
十三条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
★この部分は地域との関連が希薄な都市部ではとても難しい問題だよなぁ。ここは自分自身も社会の中での役割を認識して考えなければいけないところ。

 

(政治教育)
第十四条  良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

 

(宗教教育)
第十五条  宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。
  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
★政治、宗教については確かに学校の先生はものすごく気をつけていたのを思い出す。選挙のときに「せんせーどこの党に入れたの?」といった児童の質問にも凄く気をつかっていた。ただ、このあたり「気を遣い過ぎ」で子ども達の考えるきっかけを奪っている部分もないかなぁという心配もあったりする。

   第三章 教育行政

 

(教育行政)
第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
★実際はそうではないように感じる。あれとかあれとか…(自主規制) 後半部分は、「適切な役割分担」についてもう少し踏み込んだ記載が欲しい。
2  国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
★「全国的な」機会均は出来ていない、でも変に「地域の中での平等」に拘って低いラインに留まるような違和感も感じる。底上げに貢献するようなよい施策、どんなものがあるんだろう。
3  地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
★これも否定はしないんだけど、どうせならその「施策」をきちんと横展開できる仕組みや頭をもたないと前項と矛盾しますよね。
4  国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
★ホントこれはお願いしますよ…。中途半端に予算を削られがちなので。

 

(教育振興基本計画)
第十七条  政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2  地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

   第四章 法令の制定

 

第十八条  この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。
 
 ということでツッコミながら読んでみました。けっこう面白かったです。やってみて思ったのは、こういう教育基本法みたいな根本にあるものほど、ソーシャルリーディングみたいなもので色んな人の考えを共有したいなーと思った次第。読みながら、他の人がこの文面にはどういう考えを持っているのか、国・自治体がこの教育基本法の考えに合致するような施策を打っているならその説明ページへのリンクがあるとか、そういう感じ。ARとか使って、文章の特定部分にスマホをかざすと色んな解釈やコメントが浮き出てくるとすごく考えさせられるものになりますよね。学校の先生や、ほかの教育に関わっている人たちに同じような記事を書いてもらって、それを読んでみたいなーと心底思いました。