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EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

国際医療福祉専門学校 公開授業レポート(前編)

2014/5/17、国際医療福祉専門学校(千葉、浜野)の公開授業にお邪魔してきました。

そのレポートを作成したので公開致します。

国際医療福祉専門学校は、いわゆる「救急救命士」を育成する事を目的にした2年制の専門学校です。「救急救命士」は、かつて「医師」ではないという理由で、救急車で現場に駆けつけても苦しむ患者に医療行為が行えませんでした。ところが1991年、救急救命士法が成立し、必要な認定と技術を得れば現場で一定の対処が行えるようになりました。2003年には更に法改正が行われ、一部特定の医療行為の実施が可能(一部の実証実験的な位置づけを含む)となっています。これらの技術を有する人財の育成を行っている学校の一つが国際医療福祉専門学校で、同校は実技・座学を通して救急救命士になるために必要な国家資格の突破を目指します。
同校は全国平均よりも高い国試合格実績を誇り、成績優秀者も多数輩出するなどの結果も残しています。さらに海上保安庁等から資格取得のために同校に出向し、学んでいる学生も居ます。
同校の2年間のカリキュラムは、現場を再現したリアリティのある環境での救護演習を始め、実際に救急車や医療機関での実地研修や、マラソン会場を巡回し途中で倒れたランナーの救護(実際に参加者の救護を行い自治体から感謝状を受領した実績も!)を行うといった、現場力を重視した設計になっています。
 
公開授業では実技(医療実習)と座学の授業2コマが公開され、それぞれ前半・後半で同じ内容を行っていたため、両方の内容を見学者が無理なく回れるスケジュールとなっていました。
実はこの公開授業において、当方は座学である情報リテラシーの授業の講師を担当させて頂きました。単なる座学講義と異なるのは、授業を同校が誇る「特別教室」で、最先端のICT機器を利用し行ったと言う事です。この専門学校がなぜICTの導入を推進したか、その背景に迫りつつ、とにかく充実している同校の設備と利用例をご紹介します。まずは「前編」として、実技の授業の模様を紹介します。
 
 
公開授業では「リアリティのある環境での救護演習」を見る事が出来ました。同校では演習の効果を最大化する為、様々なICT機器が活用されています。
f:id:nomotatsu:20140521080019j:plainこちらは交通事故の現場を想定した模擬訓練。救急車で先発隊の3名が現場に到着。ここで患者の状況に応じて適切な医療行為を行っています。横にいる黒い服の人は、対応の様子をiPadのカメラでムービーに収めているのですが、これとは別に、救護対応を行っている隊員のリーダーのヘルメットにもある仕掛けが用意されています。
 
f:id:nomotatsu:20140521080252j:plainこれです。ヘルメットの横に、WiFiで映像を飛ばせるビデオカメラが仕込まれているのです。これを、少し離れた所にあるiPadでリアルタイムに受信し…
 
f:id:nomotatsu:20140521080109j:plain別斑のメンバーが見守ってるのです。因みに、左側のスクリーンには先ほどの黒い服の人が手持ちのiPadで撮影している「引き」の絵がWiFi -> Apple TV -> プロジェクタ というルートで、中央スクリーンにはヘルメットカメラの映像が WiFi -> iPad -> プロジェクタ というルートでほぼリアルタイムに伝送されています。特に中央スクリーンではリーダーの目線とほぼ同じ映像が映るために、いまどういう状況で、どういう所に注目し、何の医療行為を行っているかが手に取るように分かります。
また、「学生の創造力を膨らませるため」ということで、右側の別プロジェクタではドライブレコーダーが記録した「交通事故の瞬間」の映像が連続して流されていました。かなりきわどい映像もあるのですが、それが「現場」ということで、実際にそれを学生たちに見てもらいながら、「この状況だと仮定したらこういうこともしないと行けない」と考えてもらうように工夫しているということです。
 
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演習なので実際のシーンをかなり忠実に再現しています。こちらの見学側の斑では、先生が「遠隔で状況報告を受け、適宜指示を出す側」の役割を担います。隊員の学生が先生に実際に電話をかけて報告を行い、その中ででどの工程に何分程度の時間を費やしたか、報告すべき項目に漏れが無いか、等が詳細にチェックされていきます。もちろん、これらの記録は実際に演習をしている人と、それを見ている人たちとの間で振り返りや改善のディスカッションをするための材料になります。
 
f:id:nomotatsu:20140521080036j:plain応援の後発隊が到着。彼らが持っている電気ショックや医療機材はすべて「本物」。非常に高価な機材も多く、学生に使ってもらう上では緊張も多いとの事ですが、「実際の現場に少しでも近づける」ために、装備もすべて実際の環境を模した状況で行います。
 

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最後には、搬送が必要ということで救急車の中に運び入れ、そこで追加の応急処置を行うというところまで行います。写真の左奥にあるのは、救急車を模して作られたカットモデル。ここに実際に患者(の役をしている生徒)を運び入れるところまできちんと演習します。

 
f:id:nomotatsu:20140521080356j:plain一通りの演習が終わった後、見学側と実技実施側の生徒が合流し、振り返りを行います。先ほど情報を記載したホワイトボードはスマートボードになっており、写真のように映像や文字に重ね合わせて電子的な書き込みが可能です。ここに適宜ポイントとなる要素を書き込んで行き、学生への意見や改善案を促します。ここでは、応援隊が到着し患者への「接触」から応援隊が処置を行う迄の「9分間」という時間が長いと、厳しい指摘が入っています。これを短縮するためにどうすべきだったか、また、このときの想定シチュエーションは「雨」ということもあり、患者を寒さから守る為の処置が適切であったか、そのタイミングを変えることでもっと時間が短縮できなかったか、などと生徒同士のディスカッションが怒っていました。
 
f:id:nomotatsu:20140521080425j:plainこの日は土曜日ということもあり、実際に最近卒業して、現場で隊員として活躍している「先輩」からもアドバイスやコメントを行う一幕もありました。この先輩は授業後、有志の学生に対して個別の指導や演習支援も行っており、学生達も「現場を知る人の貴重なアドバイスが聞ける」とあって積極的に参画していたようです。
 
 
後編では同校の「特別教室」が誇る、驚愕の充実したICT環境をご紹介致します。