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EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

【海外事例】市内の小学校へのiPad導入へ1.5億の投資ー カナダ/オンタリオ州

昨日リリースされたこちらの記事の内容を翻訳+ちょっとしたコメントを付記。


Ontario announces $150 million investment for iPads in the classroom - Hamilton - CBC News

 

オンタリオ州のEducation Minister(州レベルの教育責任部門)リズ・サンダース氏は、ハミルトン(都市名)の小学校への1.5億円(用途としてAppleiPadを検討中)のテクノロジー投資を行う事を告知した。  

サンダース氏はこの金額は最新の予算に計上済みである事としており、これが今年度(※カナダは9月から新年度)中に州内で利用可能になるとしているが、そのうちどの程度がハミルトン地域に展開されるかは提示できないとしている。
(参考記事:ハミルトンの生徒、数学で平均点を下回る、EQAO結果)
Hamilton students below average in math: EQAO results

サンダース氏は算数の解き方の説明をしたり、最近のクラス旅行についてのプレゼンを行っていたある4年生の学級へ視察を行った結果、テクノロジーは生徒の生活において”不可欠なもの”だとした。 

「我々は既存の常識に介入し、少々強引にでもテクノロジーを学びと結びつける必要が有る」とサンダース氏はDr.J エドガー デイビー小学校に集まった記者に対して述べた。

ハミルトン ウェントウォース教育委員会(HWDSB)の教育統括者であるジョン・マーロイ氏は今回の投資が、5年以内に域内の4年生から12年生(日本で言う高校3年生)全員にiPadを手渡すという計画の手助けになり、教育委員会が「生徒達のためにより多くのことができる」と喜んだ。

サンダース氏は4年生学級において、生徒が足し算や引き算の文章題の回答を発表している様子を見た。その回答方法は紙に答えの数字だけを記すのではなく、問題を解くに至る自分たちの思考プロセスを「音声録音」し、説明するというものだった。

技術は数学の点数低下を防げるのか?

小学校の生徒達が奮闘している幾つかの新しい標準化された試験の得点は、テクノロジーアシステッドラーニング(technology-assisted learning:学びのテクノロジー分野からの支援)が数学の理解度向上に貢献するかが不透明で有る事を示している。
サンダース氏は Education Quality and Accountability Office (EQAO)の得点は基本的な算術スキルの測定には適しているものの、数学の問題の理解状況を説明するのには厳しいとしている。 

「バランスの良い数学学習プログラムを持つ必要がある」としてサンダース氏は言う。(見学をした)4年生学級の生徒が木曜日に行っていた事は、自分たちの論理的思考を説明する良い事例であるとし、児童たちは 問題に対して“think differently(異なった考え方)”をしていたと指摘した。 

(一部正確な訳が出来なかったので省略)、テクノロジーにより現行の基礎算数スキルをより早く習得できると指摘し、例えば数学をもとにしたゲームを使えば「児童はお母さんやお父さんが一緒に居なくても座ってドリルができる」とサンダース氏は指摘する。

教育責任部門によると州の調査では勉強に関する課題の多くが数学から来ていると指摘している。カナダのケベック州に住むカナダ内の数学トップ生徒曰く、彼女の地域の生徒達は毎日80分を数学関係に費やしているという。 

投資は将来の雇用に焦点

サンダース氏は生徒達が世界経済において成功する為には、クリティカル思考とテクノロジーの両方を併せ持つ必要が有るとも強調した。

“テクノロジーを使う事がテクノロジーではない”とも言い、ガジェット学校に配備する目的は学習領域をより多様にすることに主眼を置くべきだとした。これにはハミルトン ウェントウォース教育委員会HWDSBのマーロイ氏も「ツールではなく、学びに焦点をおくべき」と発言し、彼女に同調した。両氏はまた、テクノロジーは教員により対して、多くの従業員に対して求められる”クリティカル・シンキング”や”創造性”、”コラボレーション”など、教育者がいう「高次元なスキル」に着目することを可能にするとも指摘した。そしてサンダース氏はより多くの費用を学校に費やす事は、iPadを持っていない家庭(サンダース氏が訪れた4年生学級では3分の1が家庭にタブレットがあると回答)に対して教育の機会均等を促進するとも語った。

「学校が優れた平等化機能を持つようになる」と彼女は語り、テクノロジーへのアクセスを確保することは「将来を見つめる上で極めて重要なこと」とした。

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個人レベルで訳したものなので日本語訳の正確性については担保しません。

さて、上記の「数学で文章題の答えだけを紙に書くのではなく、思考過程を録音してもらい、それを発表してもらう」という方法論は、思考力や表現力、説明力の養成にかなり効果的なんじゃないかなと思いました。これを敢えて数学でやる、というのもポイントです。

実際に、日本の学校でもiPadを使い、Evernoteやロイロノートを活用し、英語の文章を配布してその文章を発音する様子を生徒に録音してもらい、先生に送付する、という学びのスタイルを取っている学校があります。
この方法の良い所は、ミスしたら何度もリテイクすれば良いと言う事。紙に書く行為は思考の整理には一役買いますが、トライアンドエラーを何度も繰り返すには少々時間がかかりすぎます。勿論、先生側は音声を聞く為に実時間×生徒数の新たな稼働が必要になるという厳しさもありますが、この方法で生徒の意外な個性や才能を見つけられたという声もしばしばあります。

参考リンク:Evernoteを活用し、英語の録音を行う事例について記載のある記事(当方が執筆)。
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“品女”“袖高”もほれ込む「Evernote」 両校が語る魅力と課題は? − TechTargetジャパン 教育IT

 

文中で注目したいのが、「ガジェットを入れる事で選択肢を多様にする」という点です。iPadを教育に活用し、成功している多くの学校が共通している事は、iPadもプロジェクタも電子黒板も「紙と鉛筆/黒板とチョークの代替」ではないという点です。つまり、状況によって最適な方を使い分けるという考え方が浸透しており、その「使い分けスキル」を生徒も先生も、一緒に学んでいるというのがポイントです。社会に出るとこうしたツールの使い分けは誰も教えてくれません。仕事は「納期通りに期待した品質の物を仕上げる事」が評価軸であり、これを実現するには自分自身で色々なツールや方法を試し、ノウハウを蓄積することが重要ですし、その中でチームでのコラボレーションも重要になってきます。こうした社会の当たり前をなかなか学校生活での学びの中では経験しにくい点は、各所で論じられている通り。
iPadを通じてこうした課題にアプローチしようという動きがカナダからも出て来た事は、ちょっと心強くもありますね。