EverLearning!

モチベーションワークス株式会社 および 一般社団法人iOSコンソーシアム 代表理事 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

どうやって「実況ツイート」をやっているかのご紹介

今回のエントリーでは、当方が学校での公開授業や講演会にてたびたび行っている「実況ツイート」をどんな感じ(機材)で行っているか紹介します。
内容をほぼリアルタイムでTwitterに投稿していき、イベント終了段階で「Togetter」というTwitterへの投稿(ツイート)をひとまとめにして保存できるサービスを活用、簡易的なレポートにするものです。
最近の実例としては ->
2014. 7/12 Twitterイベント実況中継
 EvernoteDays 教育セッションまとめ

 2014. 6/28 Twitterイベント実況中継
 多摩市立愛和小学校公開授業レポート

等がありますが、これはいずれも会場でほぼリアルタイムで投稿していった文章をつなぎ合わせてひとつのレポート調にしています。

■使っているのはスマートフォンソニーの「レンズスタイルカメラ QX100」

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スマートフォンのカメラは年々高画質化が進んでおり、適当に撮ってもかなり品質の良い仕上がりになるようになりました。しかし、どうしてもスマホでカバーできないのが「ズーム」です。公開授業で生徒の手元にあるiPadや教材を大きく写したり、後ろの方の座席から講演のスライドを写すのにズームは欠かせません。だからといってズームができる普通のコンパクトデジカメで記録した画像のメモリーカードスマホなどに転送して、Webにアップロードする、なんてことをしていると肝心の授業や講演の内容記録が疎かになってしまいます。

そこで、ここ1年弱ほど私はこのソニーの「レンズスタイルカメラ」というものを使っています。私の使っているQX100というモデルはスマホより高品質なセンサーと明るいレンズを搭載しており、3.5倍程度のズームもできます。一見、一眼カメラのレンズのように見えますが…

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実はスマートフォン(以下スマホ)と組み合わせて使う事が前提となっているれっきとした「カメラ」です。このレンズスタイルカメラとスマホWiFiで接続され、スマホが不得意な「ズーム」や「暗い場所での撮影」といった機能をこのレンズから「借りる」、逆にレンズ部分はスマホの液晶画面をファインダーとして「借りる」という表現がしっくり来ます。撮影した画像はスマホに無線で1-2秒で飛んできますので、そのままスマホに転送された画像をTwitterなどのSNSに投稿できます。私が実況中継をする時には、特徴的なシーンやスライドをこのレンズスタイルカメラで撮り、その状況を説明する文章をスマホで付け加えて投稿しています。

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(※この画像はソニーのQX100製品 公式サイトより引用)
このレンズスタイルカメラを使うメリットは、なんといってもこれです。カメラと液晶画面が切り離されているので、手元のスマートフォンの画面でフレーミングを確認しながらカメラ部分は自由に動かしてまわれるのです。さらに、シャッターはスマホ側に表示されているボタンでも、レンズ部分にあるボタンでも、どちらでもきる事が出来るので、レンズ部分だけを他の人に持ってもらって、スマホ側から遠隔でシャッターを切る、なんてこともできます。私の場合は、非常に混み合う公開授業の教室でも手を伸ばせば上方から撮影できたり、SNS投稿にあたりNGな「子どもの顔が映り込む」ことを避けるための微妙なアングル調整するのにこのカメラを愛用しています。

■比較的最近のデジカメでも同じ事ができます!
最近のデジカメは「WiFi対応」とか「スマホ連携」を行うものが増えてきており、上記のようにスマホの画面をファインダー代わりにしたり、無線で撮影画像を転送する機能を備えたものが増えてきています。

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こちらはつい昨日購入した「α7s」という、もの凄く暗い所でも奇麗な写真が撮れる「超高感度センサー」を搭載しているレンズ交換式カメラなのですが、これもスマホ連携ができるカメラの一つです。最近はこうした対応製品が増え始めており、スマートフォンがこれらのレンズやセンサーの性能を「借りる」ことで、スマホ単体では絶対に撮れない写真が撮れるようになっているのが面白いところです。
ちなみに、連携先はスマホではなくiPadなどのタブレットもOK。ファインダーとしてより大画面での写真撮影が行えますので、いっそう撮影が楽しくなります。

■ただし、欠点もある

ただ、このレンズスタイルカメラや最近のデジカメのスマホ連携機能にはいくつかの欠点があります。
・撮影前にスマホとの連携処理が必要
 -> 電源OFFの状態で目の前で起きた突発的な事象を撮影することはほぼ不可能
・ファインダーの動きがカクカクしている
 -> カメラが捉えている映像を無線で飛ばしている影響か、どうしてもスマホ側の
  画面に見える像はカクカクしていますし、時々動きが止まる事もあります
・周囲にたくさんのWiFi機器があると、極端に動作が悪くなる
 -> 上記のファインダーの動作がカクカクところか数秒間停止したり、撮影した写真が
  なかなかスマートフォンに転送されてこないことがある
これは最近増えてきたiPadなどのICT機器を多数活用する公開授業などでよく発生しており、見学者が多数のスマホを使っているとその確率はさらに上昇します。ですので、どうしても上手く動作しない時には仕方なくスマホ標準のカメラを(画質が落ちるものの我慢して)使うという割り切りをすることもあります。

ちなみに、比較してみてよく分かったのですが、このレンズスタイルカメラやスマホとのWiFi連携、iPhoneよりもAndroidの方がかなり安定して使えます。特にNFCという機能を搭載しているスマホだと、スマホ連携をスタートするためにカメラとスマホを「タッチ」するだけで直ぐに起動するので、瞬発力も上がります。新型のiPhone6/6 plusはNFCに対応したので期待が高まりますが、NFCにはいくつか規格があるようなので、実物が触れる機会があれば試してみたいと思います。

2014/9/27追記:iPhone6/6plusでは現状、アプリ側がNFCに非対応で利用できないようです。現状の情報を総合すると、どうやらNFCは外部API等を公開していない模様なので、暫くの間対応は期待出来なさそうです…。

 

■文字入力手段は状況によって使い分け

実況中継は写真だけでなく、先に述べたようにシーンを端的に説明する文章が命です。この文章入力をスマホだけで行うのはちょっと辛いですし、誤字脱字が増えやすくなる傾向があります。そこで、講演などである程度の広さがある時には、MacBookを併用するようにしています。

写真のデータはスマートフォン上にあるのに、なぜMacを使うの?と思うかもしれませんが、これも発想は先ほどのレンズと同じで、文字入力のために「Macに付いているキーボードを借りてくる」という考え方です。

その時に使っているのが1Keyboard という、bluetoothMacスマホを接続して、Macのキーボードをスマホの文字入力用に使えるツールです。
http://www.eyalw.com/1keyboard

スマホで使える携帯用のキーボードもあるのですが、意外と5000円くらいして高価なのと、椅子しかないような場所で膝の上に置いて使うにはあまり安定しないという事情もあって、自分は手持ちのMacを有効活用する為にこのツールを愛用しています。

もちろん、この技が使えるのは椅子やMacBookを開けるようなスペースがある場所に限られます。ですので、公開授業のように動き回ることが前提の時には、頑張ってスマホフリック入力で対応しています。とはいえ、スマホの文字入力も慣れると非常に早くなるものでして、最近では予測変換も組み合わせて授業や講演の内容をかなりのスピードでスマホに入力できるようになってきました。
なので、最近の生徒達が「パソコンでもキーボードじゃなくてスマホみたいに文字入力したい」というのもよく分かります(笑

 

■実況中継をやってみて思う事

もともと実況ツイートといえば林信行(Twitter: @nobi)さんが非常に有名で、連日様々な所に赴いてはその模様を非常に分かりやすく、かつサマライズした形で中継されています。それに触発される形で私も初めてみたのですが、これが中々難しい。見聞きした事や目の前で起こっていることをまずきちんと写真に納め、その内容をなるべく噛み砕き、かつ端的に伝えるというのはかなりの「要約力」が求められます。
しかも当方が主に用いているTwitterは文字数制限144文字という制約があり、写真を添付するとそれが更に減ります。目の前で起きている内容を130文字程度に瞬時に要約し、上記のような写真撮影とスマホ連携も迅速に行うのはかなり大変。公開授業だと1時間があっという間に終わります(笑
ただ、この取り組みは自身の文章要約力や語彙力、デジタル機器の使いこなし、写真撮影の技術などいろんなスキル、そしてTwtiterの場合は投稿した内容が「即座に世の中全体に発信される」ので、誤った情報や不適切な写真を投稿しないように配慮する「情報リテラシー」を鍛え上げるという面で非常にいい勉強になっています。
また、こうして作られたまとめが同じ公開授業や研修会に参加した先生達が学校に提出する「現場視察レポート」やその添付資料としてけっこう活用されているという話もよく聞くようになりました。こういう誰かの役に立ってるんだなーという実感が、継続するひとつの意欲になっているのかなとも思います。

今回、せっかくα7sという暗い場所で真価を発揮するカメラを入手したので、これをうまく講演会などで活用してさらに品質の高い実況中継ができるように精進したいと思います。

今日の記事は普段とちょっと趣旨が異なる話題になりましたが、教育×ICTを推進するにはこういった身近な機器・新製品を上手く使うというのも必要かなと思い、記事にしてみました。