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モチベーションワークス株式会社 および 一般社団法人iOSコンソーシアム 代表理事 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

育児中のiPhoneユーザーに便利なApple Watchの使い方4つ

 先日のiPad Proを用いた試験勉強の記事はNewsPicsやはてなブログ/ブックマーク などで広く取り上げられ、本ブログ開始以来最大となる1日5万アクセスを記録しました。やはりApple製品の購入検討にあたり、背中を押して欲しかった人が一定数いるんだなぁ、ということを感じずにはいられません。

it-education.hatenablog.com

 

 ということで、今回は iPad Pro と同様にApple製品として気になっている人が多いであろう「Apple Watch」について書いてみます。ただ製品のレビューを書いても面白くないので、iPad Pro が「試験勉強」を掛け合わせたのに対し、Apple Watchは「育児」を掛け合わせてみようと思います。

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 当方には執筆時点でまもなく1歳になる子供がいます。が、当初は父親も育児参画の時代だ!とか張り切っておきながら、結局想定していたことの3割もできておらず妻にはゴメンナサイし続けている日々なので、正直言って育児に関係する記事を書いて良いのやら、というところもあります。

 が、できない・慣れないながら育児をしている中で、Apple Watchに助けられたことが何度かあります。日々、育児に奮闘されている方から見ると正直言って「浅い!」とお叱りを受ける部分もあろうかと思いますが、せっかくなので育児中に気づいたApple Watchの意外な便利さについて記録を残しておきたいと思います。紹介する機能の多くは標準アプリでできますが、一部の機能は「本来の使い道」ではないものも含んでおります。

 なお、当方は初代のApple Watchからのユーザーで、昨年秋に2台目となるApple Watch Serise 3 (セルラーモデル)を買い足しました。2本とも現役で使っています。(なぜ2本なのかは後述)

www.apple.com

 

目次

  

常時、身につけていることの価値

 育児中、特に子供が生まれて間もない頃は、子供の「寝る時間」に両親ともに合わせることになると思います。特に、子供が寝てくれるタイミングが貴重な「家事や作業をする時間」や「休憩時間」になるわけですが、意外と「あとちょっとで寝てくれそうだけどなかなか寝てくれない」という抱っこタイムがけっこう多いと思います。

 そんな時、子供を抱っこしたままの状態で椅子や床から「動くに動けない」けど、近くにスマホが無くて何もできなかったり、あとちょっと自分の手が伸びればあれができるのに、ダルシムみたいに手が今だけあと50cm伸びたらいいのに、とか思うことがよくあると思います(笑)そんな時でも Apple Watch は常に「体の一部」として身につけているので、そのままの体制である程度のことができるのは予想外に便利でした。

 たとえば、「あ、あれやらなきゃ」というタスクをふと思いついた時。近くに紙やメモ帳、スマホがなくても、Siriを起動してリマインダにToDoや予定を登録することができます。

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 Siriは意外と小声話しても内容を拾ってくれるので、「15時にスーパーで牛乳を買うとリマインドして」的に発声すると、その通りにリマインダ登録をしてくれます。育児中は基本、自宅にいることが多く、周りに家族以外はほぼいないので音声入力という手段は早めに躊躇せず使えるようになってしまうとなにかと楽です。
 他にも、抱っこ中にもうすぐ子供が寝そう(でも今布団に置くと背中スイッチが発動しそう)という時は「耐え時」だと思うのですが、時間・心理的に待つのが辛いときもあるかと思います。そういう時は、届いたLINEやFacebookメッセージ、メールなどを手首上でちょっとずつ消化できます(当然、子供が起きてこっちをみてる時にApple Watchを使うのはよろしくないのでやらない)。Webの検索とかSNSを見たりはできないので、スマホのように「そっちに夢中」になりにくいのもポイントです。

 さらには、だいたい抱っこ(抱っこ紐の利用時を含む)をしながら何かをやっている時に限って、親とか宅配便業者とかから着信があったりするわけですが、そういう時に限って手元にスマホがなかったりする。そんな時も、Apple Watchだと手首で電話ができる(しかも、意外と手首の角度を変えなくてもマイクが広い範囲の音を拾ってくれるし、相手の声もそれなりに聞こえる)ので、料理をしながらとか、掃除をしながらとか、洗濯をしながらとか、おむつ交換をしながらとか、そういうタイミングでも急ぎの電話が取りやすい。夫婦のどちらかが育児休業を取っていて、もう片方は外で働いている、という場合だとLINEやFacebookメッセンジャー、電話などで帰宅前などに連絡を取り合う人が多いと思いますが、育児中はスマホが手元にない(あるいは取り込み中)のためにメッセージに反応がなかったり、電話を取れないケースが多いかと思います。その点、Apple Watch をつけていればメッセージや電話着信時には手首上で振動するのでほぼ100%気づけますし、取り込み中でなければ音声入力でメッセージ返信くらいはすぐできてしまいます。「なんでメッセージ読んでないの?」的な行き違いが減らせるので、夫婦双方にとって精神衛生上、良いかもしれません。

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 あと、地味に便利なのが「タイマー」。育児をしながらの料理は、子供が寝ている隙を見計らってやる場合が多いと思います。そんなとき、キッチンタイマーを使うとアラーム音で子供が起きてしまう(困ったことに人工的な電子音って子供が反応しやすい)のが気になると思うのですが、Apple Watchだと手元でタイマーがセットでき、かつマナーモードにしていれば手首の上で「振動」するだけで、音を鳴らさずに時間が計れます。自分のご飯をさっと作りたい時(パスタ茹でる時とか)に超便利。

 

水中モードの意外な活用方法

 しかし、Apple Watchを身につけていると、意外に困ることも出てきます。それは子供がある程度の月齢になると、Apple Watchをオモチャと認識していろいろといじってくるということ。我が家でもしょっちゅう、狙われます。特に、誤操作で誰かに電話掛けたり変なスタンプメッセージを送られたら…と心配になることも少なくないでしょう。

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 そんな時、意外に役立つのが「水中モード」の存在。このモードは本来、水泳やお風呂などApple Watchを完全に水に沈める時、浸水を防ぐために本体をロック状態にするためのものです。ただ、この「ロック状態」が子供によるApple Watchへのイタズラを防いてくれるのです。

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 画面を触っても、時計盤が点灯するくらいで、子供が触るのに連動して動いたり他の画面に切り替わったりはしない。おそらく、子供は自分が触れるとそれに連動して画面が動くことが面白い(そして、それを早すぎる月齢で触れらせるのはあまりよろしくない)と思うのですが、水中モードにしておくと画面に触れても特に動かないので、そのうちApple Watchにあまり関心を示さなくなります。解除するには竜頭をぐるっと大回しするだけ(解除時にスピーカーから水中モード本来の機能である“スピーカー穴に浸水した水を吹き飛ばすための音”がでますが、この音は画面を手のひらで覆うことで即座にミュート可能)なので、意外と手間になりません。本来の水中モードの使い方ではないですが、覚えておいて損はないです。

【注意】この機能は、防水機能が正式に導入されたApple Watch Serise2 以降で追加されたものです。当方は所有していないので確認できませんが、現行機種のSerise1には搭載されていないかもしれません。この機能を使いたい人は、現行モデルだとSerise3 を選択することをオススメします。

 

iPhone探索機能を応用する

 もうひとつ、本来の使い方ではないものの、便利な技をご紹介します。Apple Watchにはペアリングして使っているiPhoneを「探す」機能が付いています。

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 スマホが近くに見当たらない時、Apple Watch上からこのボタンを押すと、iPhone本体からソナー音が出るので居場所がすぐにわかり、けっこう便利です。特にスマホがよく迷子になり、家電話や相方の携帯から発信して居場所を探る、というのをよくやってしまう人にはめっちゃ便利(しかもマナーモード設定していてもソナー音は問答無用で鳴る)。

 で、この機能、夫婦間でルールを決めておくと非常に便利に使えます。例えば、「この音が鳴った時は、相方に助けを求めている時」と決めておけば、寝室で子供を寝かしつけている時、お風呂に入っている時、料理をしている時など、急遽相方の手を借りたい場合に役立ちます(それでも気づかれなければ、Apple Watch上でメッセージやら電話やらも可能)。

 例えば我が家では両親が揃って家にいる時は、「お風呂に子供を入れる人」と「お風呂上がりの子供の体を拭いて服を着せる人」を役割分担していますが、普段はお風呂に備え付けの「呼び出し」ボタンが「そろそろお風呂出るのでお風呂上がり担当は脱衣所に急行セヨ」という意味になっています。ところが、お互いの実家のお風呂にはこの機能がない。そこでApple WatchからiPhoneにソナー音を鳴らすことで代替しました。Apple Watchをつけてお風呂に入っていると、万一の緊急時にはお風呂から電話したりメッセージが送れるので、緊急時(地震で閉じ込められたとか)に外部と連絡が取れるという安心感もプラスできます。

 ただ、この機能を使うとiPhoneから結構、大きな音が出ます。子供が寝ている時に近くでソナー音がなると、起きてしまうかもしれません。そんな時は、LINEなりFacebookメッセージなりで「HELP!」みたいなメッセージかスタンプを送るなど、声や音を出さずに相手を呼べる手段と使い分けると良いと思います。どっちにしても、iPhoneが近くにない時の一つの手段として役立ちます。

 

睡眠記録が活動記録になる

 最後に、Apple Watchの便利機能の一つとして、心拍数や消費カロリーなどを測定するライフログ機能があるのですが、サードパーティのアプリを追加することで「睡眠時間」の記録が取れることはご存知でしょうか? 私は「Auto Sleep」というアプリを使っていますが、このアプリを使うとかなり正確に、夜中の睡眠周期が記録されます。夜中にふと起きてしまった時の様子もそれなりの精度で見つけてくれる。

AutoSleep Watchを使って睡眠を自動で追跡します

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 ということは、このアプリを応用すると「子供がだいたい何時間周期で夜中に起きている」という記録を特に意識しなくても残せることになります。授乳周期や総睡眠時間などを気にかけているお母さんには便利な機能かもしれません。

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 こんな感じで、睡眠周期が記録されて一目瞭然です。夜中の4時くらいに一度、紫の輪が切れているのは、この時間に子供が一度起きてぐずった時なのですが、この日はわりとすぐに寝付き直してくれて、そのまま朝まで熟睡できたことがわかります。

 

 ただ、難点はこの機能を使うには、充電は昼間のどこかでしておかないといけない、ということです。38mmモデルはだいたい1日、42mmモデルはだいたい2日でバッテリーが空になるので夜の寝る時に充電する人が多いと思うのですが、これをやるためには寝る前にApple Watchの電池が一定量、残っていないといけない。一応、充電器にApple Watchがある時は「睡眠中」の扱いで計算してくれますが、この状態だとたとえ夜中に授乳で起き上がったとしても充電器に接続中=睡眠中 と判定されてしまうので、Apple Watchを身につけた状態で睡眠を取らないと厳密な記録にはなりません。

 冒頭で私が初代とSerise 3を併用しているというのは、実はこの「Auto Sleep」による睡眠記録をきちんと残すため、なんですね。あまり知られていませんが、Apple WatchはひとつのiPhoneに対して複数、ペアリングすることができます。ただし、同時にiPhoneとやりとりできるのは、1台だけという仕様です。

 そこで私は、夜中はSerise3を充電し、充電台に置いてある初代と付け替えてそのまま寝ることで、睡眠記録を取っています。片方を充電している時に、もう片方のApple Watchに付け替えて手首を動かすと、自動的にアクティブなApple Watchが切り替わるわけです。

 とはいえ、この機能を使いたいためにApple Watchをわざわざ2台買うのもナンセンスだと思いますので、正確な授乳周期や睡眠時間を把握したいというよりは、大雑把にそれらの目安がわかればいい、くらいの温度感でこの機能を使う方が良いかな、とも思います。(それでも、紙やアプリで手動で記録を残すよりは楽ですし)

 

 ちなみに、Serise3 にはセルラーモデルがありますが、今回ご紹介した用途の範囲であれば、ぶっちゃけセルラー機能は不要です。むしろ価格的にこなれている初代のリファインモデルであるSerise1でまずは試してみるのをおすすめします。(ただ、先にも記載した通り、水中モードが搭載されているかは未確認ですのでご注意ください)

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 ということで、育児中のiPhoneユーザーは、お母さん、お父さん問わずApple Watchを使ってみると、なにかと便利というお話しでした。もちろん、こういうものに頼らなくても育児は普通にできますし、デジタルツールに頼らない育児を志向されている方もいると思います。前回のiPad Proの記事もそうですが、私は従来型のやり方を否定しているわけではなく、こういう「選択肢」もありますよ、ということがお伝えしたいだけで、費用対効果を勘案して「やっぱり使わない」という選択も良いと思っています。(そもそも、Apple Watch自体が万人にお勧めできる道具とも思ってませんしね…)

 なのでこうした記事は「自分の生活のちょっとした不満を解消してくれるかも」「そのためにこれくらいの支出はしてもいいかな」という人に、購入にあたって参照してくれるとよいなーと思って書いています。ということで、何かのご参考になれば、幸いです。