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Z会 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

【個人の意見】無理に学校を再開させないでほしい

 前回の2月の投稿から、世の中はすっかり様変わりしてしまいました。急速なコロナウィルスの世界的拡散により、多くの企業が在宅勤務になり、出張や外出が激減し、学校は休校になりました。同時に多くの会社から無償の教材提供や期間限定の有償サービスの無償化も行われましたが、一方で急激な環境変化により多くの企業や業種が一気に苦境に陥っています。

 しかし世界での急激な感染拡大、先週19日の専門家会議の発表とは裏腹に、20日からの3連休は世の中、完全に「自粛明け」ムードが漂い、学校も再開の方向になってきました。確かに日本国内の感染拡大は他国より明確に遅いし、世の中も一部のものが買えないくらいで、海外のスーパーが空っぽだったり開店前に長蛇の列ができている状況からすれば、日本は恐ろしいくらいに平和に見えます。

 ただ、この1週間、私はそんな状況に恐怖を感じていました。明らかに「日本おかしい」と。普通に仕事はしていますが、帰宅して海外の状況を調べるにつれ、日本と海外の状況の差に驚きました。普通に考えれば学校再開なんてとてもできる状況では無いように感じているくらいです。

 本来このブログは教育とICTの動向を学習者の目線で綴る場所なのですが、今日はこの1ヶ月くらいの間、どうしてもモヤモヤして自身がとても無力に感じ、その正体がわからなかったのですが、ようやく考えがまとまり、たぶん反論や反対意見も多いのだろうけど思い切って自身の考えを発信しようと思い至りました。このエントリーは当方の周囲にいる何人かの人間を敵に回す可能性もありますが、一人の日本人としてどうしても発信しておきたいと思い、書くことにしました。

 なお、この休校自粛期間中にひとつ、教育に関わる企業の人としてとても嬉しい明るいニュースがありました。機械学習翻訳エンジンDeepLの日本語対応です。翻訳の精度はたしかに高く、「これで英語を学ばなくて良い、ではなく、英語を学ぶ人にとってこそ大いなる福音」と考えた当方としては、今回の記事を実験的にDeepLで英語化し、英語版も同時公開してみることにします。

★この記事は、あくまで当方の所属している組織に関係しない、個人としての意見発信です

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お願いだから休校を維持してほしい

 最初に、学校の休校は当面「維持すべき」という当方の意見を書いておきます。日本では3月前半に授業がある小学校、中学校、高等学校が政府の指示により休校になりました(両親がともに働いている家庭に配慮して保育園と幼稚園は一律では休校になりませんでした)。ただ、私は4月からは「新年度」が始まるときには、ここまで一律の休校担っていなかった「大学」や「保育園」「幼稚園」も含めて、しばらくの間はすべて「休校」にしたほうが良いのではないかと思っています。

 日本政府は、3月19日の有識者会議の結論を受けて、「人が密集する」「換気が悪い」「近距離で多数の会話がされている」の3つの条件が重なる環境をできるだけ避けることを徹底した上で、4月から、学校設置者(私立学校であれば学校の運営法人、公立学校であれば都道府県や市区町村の教育委員会や各学校が学校再開に向けて「必要な対応をする」という方針を通知しています。

 しかし、学校の教室はこの3つの条件が重なりやすい環境です。特に日本の学校では低学年であるほど、教室の中で小グループを作り近距離で会話や意見交換をしながら授業を行うことが多い傾向があります。友達同士から学べる運営が日本の学校の良さでもありますが、この良さがある種コロナウィルス対策の上ではリスクにもなってしまいます。同様に、多くの人数がホールや体育館に集まる「式典」であったり、中学校・高等学校では学校の授業が終わった後に大半の生徒が参加している自主的な活動「部活動」も3つの条件が重なりやすい状況です。

 そのため、3つの条件が重なる環境を完全に排除しようとすると、多くの授業や学校の行事、機能に大幅な制約がかかります。なお、すべての学校は教育を通じて育みたい理念や価値観(保護者の目から見れば提供される「価値」)があるのですが、この大幅な制約はこれらを提供する上で大幅な制約事項にもなってきます。これに対して児童生徒を預ける立場の人は「仕方ない」と思う人が大半だと思いますが、不満を持つ人もいるでしょう。

 なにより、学校がいかに気をつけても、子どもたちが自己判断をして3つの条件が重なる環境を無意識に作って、そこが自覚症状のない感染者集団を作り出してしまう可能性も残ります。この状況で学校を再開させるということは、そうしたリスクをすべて勘案したうえで、「それでも、やる」という覚悟が必要です。

 でもその責任は学校が負うことになります。私は善意で「やる」と判断した学校が、あとから事件が起きて「なぜ再開させたんだ」と責められるのを見たくないです。そして、コロナウィルスの恐ろしいところは、感染集団が出たとしてもそれが発覚するのが1-2週間あとになってからという性質です。学校で感染集団が出た場合の周囲への影響や心理的なダメージは、非常に大きい。

 だから、3つの条件を気にしなければならないうちは、休校を解除してほしくない、というのが私の意見です。

 

世界では何が起こっているのか 

 日本の異常さは、世界の状況と対比することで浮き彫りになります。日本以外の国ではこうした実情を踏まえて、厳しい外出制限や人に移動制限が次々に課されています。ですが、日本は今のところ移動制限は特にありませんし、高速鉄道も普通に時間通りに走っています。スーパーではマスクやアルコールが入手しにくいですが、それ以外のものや食料品は普通に買えます。なぜここまで日本は一見「平和」なのでしょうか。

 日本以外の状況を知るには、海外の情報発信を直接いることが一番です。私が最近見た情報の中で、特に響いたものを共有します。

 中には「そんな情報を根拠に考えているのか」という情報元もありますが、私はこういうときには「誰がそれを発信しているか」よりも「発信されている情報の中身はなにか」を大事にしています。情報の受け取り方は皆さんにおまかせします。

blog.tinect.jp

https://www.news-toranomaki.net/?p=4084&=1

日本でコロナ対応をされている医者とされている方の情報発信

www.facebook.com

コロナ以外も含め、世界各国の状況を動画を中心に比較的頻繁に発信しているページ。 日本以外の国のコロナウィルス対応が非常に強いものであることがわかる。

www.madamin2.me

イタリアの状況を刻一刻と綴っているイタリア在住日本人の方の記事
 →続き   

ameblo.jp

前職の同期入社でインドに駐在している方のブログ。ほとんどの都市がロックダウンとなっており、駐在員を帰国させようにも帰国が困難な状況。

www.businessinsider.jp

イギリスの39歳の重症患者の情報発信

 

 

日本の中でも警告をしている人はたくさんいる

 では日本人がみんなこの状況を楽観視しるか、というとそういうわけではなく、専門家や独自の切り口で情報発信をされている方もたくさん居ます。

 特に感銘を受けたのは以下の記事です。

medium.com

 また、日本国内の政府とも関連の深い専門家会議のメンバーである方の緊急情報発信も迫力があります。

headlines.yahoo.co.jp

 コロナウィルスの治療にあたっては特定地域の医療崩壊を起こさず、病床数や人工呼吸器の数に余力があることが救える命を救うために最も重要な指標になっています。すでに都道府県ごとに病床数の状況を把握できるサイトもできています。

www.stopcovid19.jp

 これを見るとすでに4つの県で患者数が対応可能な病床数を上回っています。首都・東京も患者数が病床数を上回りました。

 

日本は国民性に救われているだけで、本質的にコロナに対抗できていない

 事実として、日本のコロナウィルスの陽性患者数は海外と比べてその増加のペースが非常に緩やかです。一部では日本がきちんと検査をしていない疑いあり、ということで統計データから日本を外しているケースもあるようです。実際、日本では症状がはっきり出ないと検査をしないという方針が取られているので検査が少ないのは事実かと思います。しかし、それ以前に私は国民性も大きいと思っています。

 日本人は公共の場で大きな声で話したり、電車での移動中に会話をするケースは非常はまれです。日本は世界的にも朝の通勤ラッシュの満員電車が有名ですが、満員電車では殆どの人が言葉を発していないので先に登場した「3つの条件」に当てはまらない、という解釈がされているようです。

 それ以外にも、毎年3-4月は日本の各地に植林されている「スギ」の花粉が飛び交い、これが炎症反応を起こす「花粉症」を発症している方が多かったり、1-2月は例年インフルエンザを警戒するために、多くの人が日常的にマスクをつけています。(今年はそうした事情もありマスクがとにかく手に入りにくい状況です)

 さらに学校では「手洗い・うがい」が日常的に習慣となるように指導されている。このため、大人になっても衛生用品を日常的に持ち歩く人も多い。駅や公共の場、トイレなどは常にきれいに清掃されており、観光地ではない場所も、もともと「きれい」という状況もあります。したがい、日本は比較的「国民一人ひとりがある程度の努力と対策をとっていて、それが習慣化している」という強みはあるのだと思います。こうした国民性もあって、おそらくコロナ患者があまり急速に増えてきていなかったのでは、と個人的には思っているところです。

 一方で、多くの人が「大多数の他の人に流されやすい」という性質も持っています。3月に入ってもコロナ感染者の拡大が思ったほど広がっていないという状況が続いたことから「もう外出自粛はそろそろやめていいんじゃない」という雰囲気が広がると、みんな同じような動き方を始めてしまう傾向があります。冒頭書いたように、この流れが加速し、休校解除や外出の自粛とりやめ、企業の在宅勤務の解除などに進むとしたら非常に怖い、と私は思っています。

 

3月に一瞬体調不良になったときに感じた恐怖

 実は、私は3月の上旬に体調を崩して熱を出しました。日本の教育業界は3月はとにかく忙しく、今年は特に2月末から3月にかけて大きな仕事が重なったために体力的に疲れていたのだと思います。

 このとき日本では学校の休校が始まり、コロナウィルスの拡大がとても恐れられている時期でした。コロナウィルスの始まりは「普通の風邪」とほとんど同じ症状ということも聞いていたので、体調を崩して熱を出したとき、「もしやこれは…」と非常に不安になりました。自分の症状でコロナウィルスの初期症状に当てはまるものがあると、「もし自分が会社の第一号感染者になったらどうしよう」「いま住んでいる地域ではまだ感染者が出ていないけど、感染者が出ると地域の保育園や幼稚園が休校になったり、イベントの中止の判断がされて地域に重大な影響を及ぼす」など、とにかくあらゆることが心配になります。しかもいま日本では、あらなた感染者が出るたびに地域の責任者(都道府県や市区町村の知事)が会見を開き、それがニュースで速報されるなど、実際に検査で陽性が確認されるととにかく社会的なインパクトが大きい。

 一方で、検査は肺炎の症状がでていないとウィルスが検出されにくいため、ある程度症状がハッキリ出ていないと意味がないとされています。そのため、基本的には風邪と似た症状であれば病院に行っても検査をしてもらえません。

 とはいえ会社の方に万一コロナウィルスだった場合に感染させてしまっては大変なので、私は熱が出たときから10営業日程度、念には念を入れて在宅勤務をし、念の為家族とも隔離した生活をしていました。その間、何度か医者に行ってレントゲンを撮ってもらい、異常が無いことを確認してから、さらに数日間在宅勤務をしてから最後にもう一度医者に確認をしてもらって、ようやく会社に出社したくらいです。

 というのも、自分自身が「無症状かそれに近い感染者かもしれない」という心配がどうしても拭えなかったからです。以来、基本的にはできるだけマスクをして行動し、手洗いや消毒を頻繁にしながら生活しています。このウィルスの最大の対策は、「かからないように気をつける」よりも「自分がすでに感染者かもしれない」という自覚を一人ひとりが持って行動することに尽きる、と思います。

 

ITは休校対応の一つの手段であるが…

 さて、休校を継続してほしい、というのであれば、そうは言っても学校が休みであれば子供たちは家にいることが原則となります。そうすると親は会社を休んだり在宅勤務をしなければならない。場合によっては所得が減ってしまうケースもあり、それをわかって休校継続を宣言するのは何事か、という意見もあると思います。

 この親の仕事や収入に関しては後で触れるとして、休校の重大な影響の一つが、子どもたちの学校で学ぶ機会の喪失です。友達と一緒に学ぶ、先生立ちから学ぶ、なによりも学校という場があることで生活に一定のリズムができる。そういう意味では学校は非常に貴重な存在で、親だけでなく子どもたちも学校を拠り所にしている人は多いでしょう。

 そのため、日本でも急に休校が宣言されたときには大いに混乱しました。しかも、日本は学校のICT環境整備が非常に遅れており、子どもたちに一人1台の常に使えるPCやタブレットなどの情報機器が全く整備されている学校は、ほんの一握りです。スマートフォンは一人1台に近いくらい普及していますが、スマートフォンでの通信環境が非常に良いため、逆にWiFiや固定インターネット回線を引かずにいる家庭も増えてきている状況です。また、学校に情報機器があまりないことから、学校の先生のITスキルは全体としてあまり高くなく、学校の中の「ITに詳しい先生」にIT関連の仕事が集中するという状況が長く続いています。

 一方で、ある程度先行してIT環境を整備した学校や地域では、はオンラインを活用して学校の授業を継続するという動きも出ています。ただ、これは残念ながらまだまだ「一部の動き」というのが実情です。しかも日本の学校の良いところである「どの家庭、どの子供も平等に学べる」という感覚が悪い方向に働き、「あの人はインターネットで学べるのに、この人は学べないというのは良くない」という考え方が、ITを活用した教育に一定の影響を与えている可能性もあると思います。

 そんな中、日本では「先生が授業をしている様子を、遠隔会議システムであるZoomを使って生配信し、家庭にいる子どもたちに見てもらう」という取り組みが広がりつつあります。似たような動きは世界でもありそうですが、個人的にはこの動きをちょっと警戒しています。というのも、私は前の会社でネットワークエンジニアをしていたことがあり、遠隔会議システムの乱用はインターネットトラフィックへの甚大な影響を及ぼす懸念があることを知っていたからです。

 

そのZoomの双方向授業は本当に必要か

 工夫や試行錯誤をしている先生を否定するつもりは無いのですが、可能であれば以下の内容は考えてほしいところです。Zoomに限らず、WherebyでもWebExでもGoogle Hangoutでもすべて同じですが、その会議、その授業に本当に「常に映像を双方向で流すことは必要ですか?」をぜひ、皆さんには意識してほしいのです。

 ZoomやWebExなどは学校向けに無料で利用できる範囲を広げた特別アカウントの配布を行っています。そのアカウントを受け取った教育関係の方が、続々とビデオ会議の仕組みを使った遠隔ライブ授業をやっているのですが…。
 実はいま、世界中でコロナウィルスの拡大により、在宅勤務や学校の休校が相次いでいることから、世界のインターネットの通信量(トラフィック)が非常に多くなっています。YouTubeはこの影響で全体的に画質を低下させて通信量の削減に取り組んでいますし、NetFlixも25%程度のトラフィック削減をして在宅勤務を行う方への配慮をしています。また、ZoomやGoogle Hangoutも、利用者の急増により接続トラブルなどが時折発生しているようです。

 しかし、冷静に考えてみれば、特に授業をしている先生の映像は「必要なときだけON」にすればよい。音声だけで解説をしているときもあります。もっと言えば、受講している生徒や児童の皆さんは、カメラをオフにして映像の送信量を減らしたほうがよい。授業をしている先生は子どもたちの表情が常に見えたほうが嬉しいと思いますが、そのために有限なインターネットのトラフィックを使い続けて他の人たちの在宅勤務や、どうしても映像が無いと成立しない他の授業をしたい先生に影響が出てしまっては困ります。

 もっと言えば、常にZoomでつながりっぱなしである必要は無いことも多い。最初の数分間だけ接続して説明をし、課題などを出して、教育SNSなどを通じてそれを提出し、最後にその解説のためにもう一度数分間Zoomを接続する、といった具合に通信する時間を節約することもできます。Zoomは有料アカウントでないと40分以上の長さの会議ができないという制約を今回の休校対応で取り払った特別アカウントを用意しましたが、これにより「必然性もないのにずっと通信を垂れ流しているビデオ会議」が学校を中心に日本のあちこちで発生をしているとしたら、良いことではありません。

 これは企業でZoomに限らずWeb会議を使っている(および、今回の在宅勤務で灸に遣うことが増えた人)にも言えます。みなさん、不要なカメラの映像はできるだけ切って、トラフィック削減に貢献しましょう。

 

休校を維持するなら大人たちも考えを変え、模範を示そう

 さて、少し学校・教育方面の話をしましたが、ここで休校を継続するにあたり、働いていたり、家庭を守っている大人たちのあり方についても考えたいと思います。

 まず、教育は学校にまかせておけば良いというスタンスの親もいると思いますが、もしそう考えているのであれば、ここを変える必要があると思います。親は、日本では法的にも教育の第一義的な責任を持っています。学校に行けない場合は、親は子の教育の機会の確保に対して最大限の努力をするべきなのです。日本の場合、最近では両親がともにフルタイムで働くケースが増え、長時間労働をしている方も多いです。そのため、家庭に割ける時間が少なくなり、結果的に教育が学校任せになっているケースも多いのかもしれません。(これを書いている自分も思い当たる節があるので人のことを言えたものではないのですが…)

 ですが休校となり、在宅勤務となると、仕事をしている同じ空間に退屈な子供がいては、仕事にならない、ということもあるでしょう。その時、親はできるだけ子どもたちが夢中になり、自分の興味関心で没頭するような「教育的な価値のあるモノ」をいかに提供できるか、というスキルを問われます。在宅勤務がうまくできる環境を手に入れたとしても、休校が続けば、仕事と子供の面倒を見るのを同時並行でやることになるので、このスキルを高めることが必然になります。親の腕の見せ所、とも言えます。

 併せて、できる限り親も「在宅」を貫き、不必要な外出を避ける姿勢を見せる必要があります。親がフラフラとどこかにでかけていく様子を子どもたちが見ていれば、子どもたちも同じ行動をするでしょう。フラフラと動き回ると、それだけコロナウィルスに触れるリスクも高まり、場合によっては無自覚な感染者となって家族全体を巻き込んだり、家族以外にも感染を広げる可能性があります。親も「自分は感染者かもしれない」という自覚を持って動いてほしいし、その模範を示してほしいものです。

 

この状況が長引くことを前提に、在宅でも社会の維持が可能な方法を考えよう

 最後に、個人的にはこの休校であったり、在宅勤務であったり、外出の自粛であったり、という状況は、おそらく一時的な緩和と問題発生を受けた引き締めを繰り返しながら、今想定しているよりもだいぶ長く続く可能性が高いと思っています。そのため、在宅勤務や休校の影響は長く続くと思っておいたほうがよく、少なくとも1ヶ月、2ヶ月後にはもとの生活が戻ってくると思わないほうが良いというのが私の意見です。(だからこそ、休校を継続したほうが良いと思っている)

 すでに飲食店や観光・輸送業界は大変な痛手を被っています。物理的に人が動かないことによる影響はもはやどうしようもないので、例えば旅客業については国の補助などを受けてなんとか乗り切ってもらうしか無いかもしれません。しかし、飲食店については近隣への宅配ニーズを満たすように業態変更をしたり、対人商売についても一部をオンライン化したりECサイトを立ち上げたり、あえて予約制にして人が集中する時間を避けたり、送迎サービスを組み合わせて移動リスクを最小化するなど、付加価値で勝負をすることもできるはずです。

 あとは、会社においてはできる限りこの機会にペーパレス化を推進し、ハンコは電子印影で代替できるようにしたり、領収書や請求書をPDFで送って自社で印刷するように買えたりと、人が「会社に行かないとできないようなこと」を極力、取引先に対して強制しないような配慮をしていくべきだと思います。

 そして、休校を継続するのであれば、学校での学びの価値の中で「絶対に外せない本質」を抽出し、そこに特化した価値提供を行うことも重要です。極端な話、同じ単元、同じ分野、同じ教科の授業は、授業力に卓越した先生が一人配信をして、全国でそれを見たってよいはず。個々の学校で別々に行われている授業も、それはその場所に人が行くから場所ごとに提供する必要があるのであって、オンライン担ってしまえば、場所や所属ごとに別々にやる必要性は必ずしもないのです。

 むしろ先生は、直接これまで面倒を見てきた子どもたちの心の支えとして、教育SNS上の書き込みへの反応であったり、Zoomでの数分間のお互いの「近況報告」であったり、人対人、その人とそれを行うことに意味があることに特化しても良いのかもしれません。(教えたい、というウズウズと戦うことになってしまうかもしれませんが…)

 今回の(それなりに長引くかもしれない)休校対応は、もしかしたら学校がオンラインという場の価値、できること/できないことを正しく抽出し、学校という場と人の提供できる価値・本質に特化できる機会になるかもしれません。これがうまく共有されれば、日本の教育は一歩進化できるとも思います。なお、日本国内では今、海外に対して遅れている「子どもたちに一人1台の情報端末を提供する」という動きがようやく、国をあげて急速に進んできています。これまでも何度か同じような動きはありましたが、一部地域だけにとどまったり、導入された機材が結局使われずに仕舞われたままになってしまう事態もたくさん発生してきました。

 しかし今回、縁が遠かったオンラインと学校が有無を言わさず強制的につながってきました。これにより学校の提供する教育の本質が共有されたならば、一人一台の情報端末は真の力を発揮するものと思います。

 無理せず、休校継続を。それを実現するために、社会を含めた仕組みを、大人たちもみんなで少しずつ力と知恵を出し合って、進めていく覚悟を。そして、1年と数カ月後には、この問題を克服して、東京でオリンピックがちゃんと行えることを目指して、頑張りたいと思います。

 一人の日本人として、私も微力ながら頑張りたいと思います。