EverLearning!

モチベーションワークス株式会社 および 一般社団法人iOSコンソーシアム 代表理事 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

紙とデジタルの共存 WACOM 「BAMBOO Spark」を使ってみた

本日は一つ、教育分野で使えるかもしれない製品を紹介しようと思います。

 

教育分野では紙と鉛筆、黒板とチョークは今でも重要な存在です。タブレットやICT機器が今後普及したとしても、情報を扱う選択肢としてアナログな手段は今後も残り、共存関係になっていくと当方は考えているのですが、そんな教育分野にぴったりな製品が今日紹介するBAMBOO Spark です。

これは一言で言ってしまえば「デジタル下敷き」。この下敷きの上で、専用のペンを使って字や絵を描くと、それを簡単にデジタル化してスマホタブレットに取り込むことができるというスグレモノです。

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今回は当方が兼業という形で関わっている一般社団法人iOSコンソーシアムが検証用としてこの製品を用意してくれたので、早速試用させていただきました。今後この製品は私がiOSコンソーシアムで関わっている学校の先生方へ順次、2−3週間めどで無償で貸し出しをしてユースケースを探ってもらう予定です。

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BAMBOO Sparkの見た目はこんな感じの、かっちり目の見た目のバインダーといった印象です。

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開くとこんな感じです。左側にはタブレットなどを格納するためのポケットがあります。右側に「デジタル下敷き」としての効果を発揮するエリアがあり、この上に普通の紙を置いて、真ん中に収納されているペンを使って絵や文字を書くと、デジタル化される仕組みになります。紙は厚み5mm以下なら基本的になんでもOK。A5サイズの縦開きタイプのノートがベストマッチするような作りになっています。ペンは電池が不要なタイプ。

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よく見てみると、デジタル下敷き部分の裏側には電源スイッチがあります。この周囲が少し盛り上がっているのですが、おそらくここがバッテリーかと思われます。

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左側にiPad Air2を、右側にはA4のコピー用紙を半分に折ったものを置きました。ちょうどこのくらいだと、iPadの画面サイズと紙の描画領域が近くていい感じです。そのためか、BAMBOO Sparkの製品ラインナップには最初からiPad Air2のホルダーがビルトインされているモデルもあります。

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ちなみに、本体を充電するためのUSBケーブルと、替えのペン先も2本同梱されています。

実際に使っているところは、百聞は一見にしかずということで動画を撮ってみました。動画は以前このブログで紹介した書画カメラ「iPEVO  iZiggi HD」で撮影しています。
動画ではタブレットとBAMBOO Spark をペアリングするところから、実際に書いたものと同期したり、タブレット上で書いた内容を「再生」するところも収録してあります。 

いかがでしょうか。書いた文字は真ん中のボタンを押したタイミングで同期される仕様です。

ちなみに、オフライン環境でも使えます。無料で作れるクラウドアカウント「WACOM Cloud」を登録すると、5GBまでのデータをクラウド上に保存し、他の端末からも参照できるのですが、とりあえず端末に転送しておけば、オンラインになった時に保存されるのがいい感じ。学校などのweb接続環境でもそれなりに使えそうです。

さらに動画を見ると分かる通り、「書いた順番」が一緒に転送されているのもポイント。文字の書き順チェック、絵を描く過程の記録、制作・作文過程の可視化など、いろんな活用シーンがあるように感じます。

最大の利点は、手元に「紙も残ること」と言えるかもしれません。個人的な経験から振り返ると、個別指導の塾講師や家庭教師として指導する時に欲しいと思いました。例えば連絡帳などの紙ベースのものに書いた内容を手元に記録として残したり、白紙に書いた解説や式変形の過程を生徒に渡しても、手元にデジタルデータは残ります。
後からその内容について質問を受けた時に「書く過程」を含めてもう一度生徒に見せることで記憶が再現されたり、定着に一役買うこともあるかもしれません。逆に、生徒がタブレットスマホを持っていれば、デジタルデータの方を生徒にプレゼントするという方法も取れるようになるかもしれませんね。紙よりも管理が楽ですし、日付で検索できますので。

なお、筆跡も含めたデータは「WILL」というワコムが提唱する規格のデータ形式で保存されるのですが、これが非常に軽量でタブレットの容量を圧迫しません。さらに、タブレット上からデータは(筆跡履歴情報はなくなりますが)PDFなどに書き出すことも可能なので、普段から使っているビューワーやEvernoteなどに投げ込んで管理することもできます。

価格は、現在2万円ほど。ちょっと高いのですが、手持ちのスマホタブレットを使えること、普段やっている「紙に書く」という行為の邪魔をしないことなどを考えると、「無理をしないICTの導入」ができそうな一品だなーと思いました。