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モチベーションワークス株式会社 および 一般社団法人iOSコンソーシアム 代表理事 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

【教育×Tech領域の採用の話】スキルとやりたいことと給与の一致について

 久しぶりの更新です。

 今日は昨年5月に転職し、やっと自身がやりたいことができて、そこで自身のスキルが活かせて、給料も納得できるような会社に出会えた、という話を書きたいと思います。

※もしこのエントリーを読んで「モチベーションワークス株式会社」って面白そうだな、話を聞いてみたいな、という方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

 業界や洋の東西を問わず、この3つを全て満たした働き方ができている人は非常に限られていると思います。特に日本においては、「自身のスキル」と「給与」が直結しないという課題を抱えている人が(ことさら、研究者やエンジニア、クリエイターの方に)多く、技術や積み上げた研鑽が正当に評価されず、人財流出を招いている側面があるように感じています。私が働いている教育×Tech(あるいはEdTech)の領域もその一つだと感じています。

 この領域に興味を持っている人は(最近、日本の公立小中や一部高校で”一人1台の教育用コンピュータ”が導入されたこともあり)多いのでは、と思うのですが、学校のICT環境を技術的に支えていたり、その管理や保守をしてくれているICT支援員の方や、そうした機材の導入に関わっている企業には、かなりの高いスキルが信じられないくらい低い給与で買い叩かれている実態もあり、仕事としては「やりたいこと」だけど敬遠されるケースも出ているように思います。

 

 ただ、私は幸運なことに(これまで10年ほど思い悩んできましたが)、冒頭に記載した通り「やりたいこと」「自身のスキルが活かせること」「給料も見合っていること」という3つを同時に満たせる会社に就職できました。ただ、このエントリーは単にそれを自慢する目的ではなく、同じような課題を(特に教育×Techという領域で)抱えている人たちに対して打破するヒントを提供したいと思って書きました。

 

 このエントリーは「採用」を意識したものです。なかなかこんな会社ないし、教育×Techの世界においてやりたいことがマッチするならばとても楽しいので、意思のあるみなさん、一緒に働きませんか?という呼びかけが主目的です。ただ、転職の意向が全くない人でも、特に教育関係のお仕事をされている人であれば、読むとけっこう面白い内容になっていると思いますので、目次を見てピンと来た方は、少々長文ですがよかったらお付き合いください。

 

教育×Tech領域においてスキルと給与が相関しない理由

 これは正直、教育×Tech領域に限った話ではないのですが、複数領域の掛け合わせで生まれた新たな領域においては、お互いがお互いの価値を正しく評価できないことが多いように感じています。例えばXTechと呼ばれる、既存領域とテクノロジーが合わさって生まれた領域ではそれが顕著だと感じています。例えばX=教育、金融、医療、行政 などいろんな定義がありますが、既存業界の方がテクノロジーを持っている人の価値を採用タイミングで適正に評価できる例は稀ですし、逆にテクノロジーを持っている人がXの既存領域のコンテンツや知識を正しく評価できる例もレアだと思います。

 

 そもそもXTechの領域自体がここ20年以内の比較的新しい領域なのですが、そうは言ってもその領域が社会で重要な役割を占めている(=複数領域の掛け合わせができる人財の需要が高まっている)にも関わらず、給料がついてこないのはおかしな話です。特にXTech領域についてはテクノロジーはとても重要で、Xの領域に専門性がありつつ技術や研究を積んできた人財は超貴重なはずなのですが、なぜかそれが私のいる教育×Techの領域では買い叩かれている感があります。ここには自治体の入札制度のように、一度「安い調達」の前例が作られると2回目以降は前回よりも「安い金額で同等以上」を求められる慣習もあるのですが、いろいろ考えた結果、

 教育領域の人はTechスキルを正しく評価できない人が多く、Tech領域の人は教育のスキルを正しく評価できない人が多いのではないか

という一つの仮説に至りました。両方のスキルや知識・経験がある人がやってきても、自社が強い領域に対し応募者のスキル・知識・経験は高く評価されにくく、自社が持っていないスキル・知識・経験の価値は評価方法が判らず給与に反映しにくいのではないか、と思ったのです。

 そこで考え至ったのが以下の図です。そもそも、既存領域がある企業が新たにTech領域に進出したり、逆にTech企業が既存の事業領域に進出することでXTech領域への参入が可能になるのですが、教育の領域は元々「参入障壁が高い」と言われることが多い業界の一つであり、多くの企業がそこに苦しんでいるように感じています。

 

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既存領域を持つ企業が領域をまたぐための障壁

 この点線で区切られた事業ドメインを超えるのが難しい=点線の向こう側の人財の希少性や価値判断を難しくしている、というのが私の仮説です。逆に言えば点線を超えた先の事業領域を持っている企業はその人財価値をわかっているはずなのですが、残念なことにそうした企業も他の「価値を正しく認識できていない(あるいは、正しく認識しようとしない)事業者の設定する相場に引きずられる」という現象も起きているように感じています。

 ではなぜこの「点線」を超えるのが難しいのか?についてそれぞれ詳細を書こうとも思って書き始めたのですが、それだけで5000文字を超える分量になってしまったので、それはまたの機会に譲ります。ただ上記の推論が正しいかどうかは置いといて、とにかく教育×Techの領域で仕事をしている高スキルを持つ人の給与が価値に見合っていない、という感覚が強いのが筆者のイメージです。この段階で、冒頭の3つのポイントを同時に満たすことが非常に難しいことがイメージできるのではないかと思います。

 

 ただ、この図には一つ抜けているところがあります。それは、「最初から右上の新規領域(この図で言えば教育×デジタル)の領域で創業してしまう」というウルトラCです。既存領域として教育やTechの事業があると、それが重荷になって参入が難しい部分があるのですが、最初から教育領域とテクノロジー領域にある程度明るい人が集まって起業してしまえば、ある意味いきなり「参入障壁」の中で仕事ができることになります。もちろんそのためには参入する領域において具体的な「解決すべき課題」が先鋭的に認識されていることと、「その解決策になる強いプロダクト」が作り出せることが重要になります。

 その一つが、私が入社した「モチベーションワークス株式会社」でした。

 

モチベーションワークスとは

 モチベーションワークスは創業から(執筆時点:2022年4月初頭において)3年半少々という非常に若い会社です。業務領域としては、学校の業務(校務といいます)のデジタル化を進める「校務支援システム」というものを開発し、提供している会社です。

 校務支援システム自体は別に目新しいこともない製品なのですが、面白いのは比較的最近の技術を使って校務支援システムのあり方を再定義することで、私立の中高一貫校を中心に一気にシェアを広げることに成功できたということです。再定義と言っても、活用しているのは一般的な民間企業や個人消費者としては当たり前の「クラウド」を使っているだけ。ただ、従来の校務支援システムは、成績や保健情報などの機微な個人情報を扱う校務の領域は役所などのシステムと同様の高いセキュリティが求められていたので、多くが「オンプレミス」と呼ばれる学校や教育委員会にサーバーをおいたり、専用回線を介してデータセンターなどにシステムを置く「ホスティング」であったり、専用回線経由の「プライベートクラウド」を使う方式でした。モチベーションワークスはこれをインターネット経由で使える「パブリッククラウド」形式で最初からシステムを構築したのが特徴で、クラウドの利点を校務の世界に持ち込める製品作りに成功しました。この春から複数の自治体でも採用されています。

 このプロダクトは、最初から教育領域に知見があり、システム開発やテクノロジー領域に理解がある創業メンバーが少人数で(かつ、ユーザーである学校の先生に綿密にヒアリングをしながら)アジャイル型で積み重ねながら開発し、今に至っています。当たり前ですがクラウド型なのでサーバーなどの設備投資が不要となり、保守費も安い。今年度からは初期費用と保守費用、さらにベース部分のカスタマイズ費用も全て「月額料金に込み」というサブスクリプション型の料金体系を実現し、さらに採用校が増えました。

 

モチベーションワークスのVision:「学校の”負”を解放する」

 昨年、文部科学省Twitterではじめた”#教師のバトンでも度々話題になったように、現在の学校の先生たちはとっても多忙で、個々の児童生徒や保護者に向き合ったり、自分自身が充分な休息や休暇を取って研鑽したりする余力が非常に少なくなっています。個別の対応が難しいことが、一律的な対応を児童生徒に強く求めたり、それが校則や謎ルールを生み出したりして、段々と学校という場が息苦しくなる。それに対して児童生徒や保護者(時には地域の住民や議員)から声が上がる。そうしてさらに忙しくなる。そんな「負」のループに陥っているような学校現場もあるかもしれない。

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仮説:学校が陥りそうな「負のスパイラル」
 ならば、保護者にとっても先生にとっても負担になっている「紙」や「電話」といった不要な印刷や口頭・付箋などでの情報伝達をなくし、「校務」のデジタル化により、家庭と学校の間の情報連携を良くすることでそうした負のスパイラルを解消できないか、とモチベーションワークスは考えました。(もっと言えば、そうして生まれた時間で、個々の児童生徒と向き合う時間が増えたり、先生が余暇をうまく活用して家族との時間や自己研鑽の時間を確保できるようにすることが、より良い教育の実現につながるはずだし、教育において大切なアナログの部分である「人と人との関わり合い」の強化につながる、と思っています

 私の親戚には教師が多いこともあり、比較的身近で教員の働き方に関する問題に触れてきたこと、そして近年それがさらに厳しくなっていることを実感していたこともあり、この「校務」のデジタル化ビジョンには非常に共感をしました。何よりも、自身が持っているネットワークエンジニアとしてのスキルや、教育情報化コーディネータ2級という資格、最新のTech領域から学ぶ英語力、そして多くの中央省庁や教育委員会・学校現場と一緒に仕事をしてきた経験が活きる領域だな、ということで、最初にオファーをいただいた時に大変な興味を持ちました。

 そこに、最後のピースとして「給与」の壁があったのですが、これにはモチベーションワークスという会社を自分に「紹介」してくれたある人がスキルのお墨付きをしてくれたこともあり、ありがたいことに会社は当方のスキルや経験を評価してくれ、
 ・前職を上回る年収(もちろん、正社員としての採用)
 ・育児や家庭を両立しやすい働き方
  (95%以上リモートワーク)
 ・本業に支障のない範囲での副業の許可
 ・業務遂行にあたって必要な機材の購入権限
 ・やりたい仕事の実現にあたり必要な予算と人事権
を、入社する前の自分を「信じて」与えてくれました。採用通知書の条件欄を見て「ほんとかよ」と思ったくらいです。

 

半端ない社員への信頼と権限移譲 

 正直、モチベーションワークスは入って2−3ヶ月で「ああ、正解だったな」と感じていたのですが、組織というものは入ってしばらくガッツリ仕事をしてみないとわからないことも多いかなと思い、この記事を書くまで1年くらいは様子を見ようかな、と思っていました。ただ、結果的に1年経って「うん、間違いなさそう」と感じたので、この記事を書きました。(ちなみにちゃんと代表者などにも見てもらってから投稿してます、笑)

 それで入社してびっくりしたのは、基本的に「従業員に任せる」という方針であり、ベースに「社員への信頼」があるということです。自身がこういうことが面白そうだと思っていると「相談」レベルで話をしたら「じゃそれやってみようよ」とすぐに話が決まる。そしてそれをやるために、今までであれば考えられないほどの権限が与えられる。例えば

 ・相談事があれば社内Slackで上席に確認 → すぐ決まる 
 ・新規事業としてこういうのをやりたい、となった時、その実現のためのチームを
  採用するための意思決定をほとんど任せられる

 ・新規事業実施に必要な予算やリソースの確保に経営陣が奔走してくれる
 ・標準の業務用PC(会社支給)がM1搭載のMacBook Airだった
 ・正社員経験のない有力採用候補者をあっさり正社員として採用承認してくれた

などなど。特に最後の部分については、冒頭に記載した通りスキルと給与が明らかに合っていない人だったのですが、スキル評価の部分を当方に一任してくれたことで、年収も大幅UP、かつ労働環境や労働条件も大幅に良く採用できました。たった一つの事例とはいえ、この業界の課題解決にほんのちょっとだけ貢献できたな、と思っています。ちなみにその方は、EdTech領域としては異例とも言える「創業3年半で、教育委員会(学校を管轄している組織)と直接契約を結び、地域の公立小中学校全部に有償の製品を採用してもらう」という偉業を達成してくれました。しかも複数の案件で。

 改めて、明確なビジョンがあり、学校現場の声からゼロベースで(利用可能な技術を取り入れて)作った強い製品があり、それを支えるナイスなメンバーが集っているベンチャー企業の面白さというものに、入社して3ヶ月で私は魅了されました。そして私が採用に関わった方もそうやってONとOFFをうまく両立しながらよりQoLの高い生活を送ってくれていることを嬉しく思いますし、こうした業務環境を実現してくれている「心理的安全性」というもの(もっとシンプルに言えば「従業員を信じてくれていること)が、こんなにも大事なことだったんだなと実感しています。

 

仕事内容・スキルの活用・給与の3つのうち2つ以上を目指したい方へ

 ということで、もしこのエントリーを読んで「モチベーションワークス株式会社」って面白そうだな、話を聞いてみたいな、という方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

 仕事内容については「学校の”負”を解放する」こと、もっと言えば先生たちの仕事環境を良くしたり、保護者や児童生徒の抱える課題を解決することを通じて社会に貢献したいと考えている方には、きっと満足してもらえると思います。

 社員には教員経験者や教育領域の企業出身者も多いですが、「えっ、こんないいシステムがあるなら前職で使いたかった(売りたかった)」という声が多く、何よりも社員が会社のプロダクトについてとても誇りを持っています。ちなみに、これまで私立学校を中心にプロダクトの提案をしてきましたが、私が在籍している1年の間でお話しした学校の中から「全く興味関心なし」でお断りを食らった学校がまだ1つもありません。本当なんです…。「当年度内は難しい」はあったけど、来年度以降に向けて検討します!と言ってくれる学校も多いです。それどころか、最近はほぼ毎日、いろんな私立学校や専門学校、教育委員会などから資料請求や導入問い合わせがやってきます。そんなに広告宣伝にお金を使っているわけではないベンチャー企業なのですが、口コミで広がっているみたいです。そういう意味では「売る」仕事も、エンドユーザーを「サポートする」仕事も、製品を通じて学校現場に貢献できていることを実感できて良いと思います。

 なお、給与についてはこれまで私が採用に関わった方は全員、前職よりも年収UPとなっています。正社員経験がなかった方を正社員として迎え入れる事例も複数件出ました。他にも、定年後の方に週1−2程度と無理のない範囲で業務委託として活躍してもらっているケースも増えています。そして、色んな意味で教育×Techの領域で業務を経験してきた私が、最初に面接をして候補者の皆さんのスキルについてはきちんと「評価」したいと思いますので、スキルと給与が合わない、ということも少ないと思います。何よりもその課題をなんとかしたいと人一倍、強く思っているのが私なので…。

 興味のある方向けに、こんな方がきてくれるといいな、というのを最後に書いておきます。あとは、どうしても組織なので向き不向きがあると思いますので、給与、スキル、やりたいこと 以外の側面についてどんな人が向いていそうかも明記しておきますね。

【モチベーションワークスに向いていそうな人】
 ・学校現場にあるさまざまな問題解決に情熱を捧げたいと思える人
 ・年齢差を気にせずに色んな考えを大事にできる人
 ・スピード感を持った意思決定をしたい人
 ・育児や家庭と仕事を自分なりのバランスで両立したい人
 ・リモート勤務最高!的に自律的に動ける人
 ・(今まで言えなかったかもしれないけど)思ったことをちゃんと言いたい人
 ・心理的安全性をなによりも重視したい人
 ・副業に関心がある人
   →これには一定要件があるので応相談

という感じです。もちろん、会社なので業績を挙げて、さらに発展していくことが前提になるので一定のビジネス感覚は必要になります。これは、同じようにスキル・やりたいこと・給与 のそれぞれの軸で悩んでいる他の方にこれからも適正な給与をお支払いし続け、そうした方の採用を増やしていく上でも必須のことなので、ビジネス感覚については(わからないなりにでも良いので)一緒に学びながら前に進める人を募集したいと思います。

 

 ということで、興味のある方は是非とも筆者、野本 までご連絡ください。まずはお話ししましょう。Facebookが比較的、連絡がつきやすいです。