EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

広尾学園の文化祭「けやき祭」を見学してきました

2013/10/5、東京都港区の広尾学園の「けやき祭」にお邪魔してきました。同校の金子先生より招待状を頂き、撮影と公開の許諾を頂いたうえで記事を掲載致します。

同校は私立の中高一貫校iPadMacBookを使ったICT教育を積極的に推進していることで有名で、都内No1の受験生を集めるに至っている。特に理系の”医進・サイエンスコース”では「研究活動」が部活動とは別に存在しており、日常的に「査読の通った(英語の)学術論文」を読み解いたり、纏めたりするためにiPadを活用。その研究成果の発表の場の一つとして「けやき祭」が位置づけられているということで、今回はそれを目的に訪問した。が、医進・サイエンスコース以外の本科コース/インターナショナル のクラス展示や各種部活動の発表も非常にハイレベルで、当初持っていた「ICTを活用したハイレベル文教校」というイメージが良い意味で裏切られた格好だ。

今回は、部活動としては 中学および高校のブラスバンド部、ダンス部、チアリーディング部、軽音楽部、筝曲部 の発表を見学。 また、いくつかの中学クラスや鉄道研究部の展示、医進・サイエンスコースの研究発表会の見学など、ほぼ丸一日をかけて出来るだけ多くの場所を回った。その模様はほぼリアルタイムでTwitterで実況中継、時系列が分かるように以下のページで纏めているので参照されたい。

[togetter] 広尾学園「けやき祭」訪問レポート
http://togetter.com/li/572954

こちらでは全体のまとめと、別途編集した各部活動の動画を公開する。

■全体を通して
とにかく「お客さん」が多い。公式HPによると原則として入場できるのは在校生の保護者や家族、卒業生とその家族、そして「受験希望生とその保護者」であり、一般の方の来場については”招待状”が必要という位置づけだ。つまり、「お客さん」の大半は学校に直接的に関係のある人たちばかり。中高一貫で生徒母数が多いとはいえ、それだけで説明が付かないほど盛況。階段やエレベータホールはかなりの混雑で、昼の食事時には食事を取る場所を探すのに苦労するほどだった。

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ご覧のように、雨天であるにもかかわらずグラウンドの露店には多数のお客さん。(これを撮影したのはなるべく人が切れているタイミングを狙ったがそれでもこれくらい)
こうした露店や昼食提供ブースは学生や生徒会が運営している所だけでなく、あちこちにPTAや保護者の方達の姿があった。特に、保護者の「お父さんたち」が元気よくパスタを提供するブースは際立っており、親子で文化祭を盛り上げようという気概が人を呼び寄せているのかな、と感じた。

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関心したのが、これ。来客の中で希望する人には、在校生が学校内ツアーをしてくれる。受付でその様子を少し見ていたが、とても丁寧な言葉遣いと気配りはまさに「お客様対応」そのもの。似たような取組みを行う学校は他にもあるだろうが、普段お客様対応を行う部署にいる私から見ても「すごかった」ので、相当なレベルだと思う。

■部活動(発表系)
まずは取材した部活動の発表の模様をダイジェストで2分程度に纏めた動画を貼っておきます。

広尾学園けやき祭 - YouTube

けっこうな「ハイレベル感」が伝わってくるのではないでしょうか。また、動画には含まれていませんでしたが、こちらの軽音楽部は
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ご覧の通り学生がステージ前に沢山集まって盛り上がっています。ちなみに、このステージの照明のコントロールはluminairというiPadアプリとレンタル機材を使って行っていたのだという。

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映像にも登場するダンス部もかなりのハイレベル、お客さんサイドもかなりの盛り上がり方だった。生徒の中にダンサーの「ファン」が居るのか、あちこちで”黄色い声”が上がっていたのも印象的。こちらの照明コントロールはMacBook Airの音楽と同期して行っていたそうで、至る所にICTによるサポートがあるんだなと関心。

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優雅な筝曲部の発表の模様。動画にも登場します。

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圧巻だったのがこちらのチアリーディング部。通常は中学部と高等部で別々に大会などに出場しているそうだが、「けやき祭」では60名超の部員による合同演技を見る事ができる。動画の最後にも登場するが、躍動感のある演技はさすが全国大会入賞レベルと感じる。

 

■展示・発表系

クラス展示や部活動の展示系も時間の合間を塗って訪問。

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こちらは、鉄道研究部。所々に「入賞」した模型が展示されていた。

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思わず見入ってしまった「鉄道車庫」を再現したこちらの部分。このような模型(Nゲージ)が教室一杯に配置されており、来校者は操作板から実際に線路上の鉄道を操作することができる。ちびっ子たち大興奮。

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こちらはサイエンスラボで実施していた「スライム作り」の体験コーナー。うまく配合するとスーパーボール的に「跳ねる」スライムが作れるということで、生徒の立ち会いの元、訪問客が製作を楽しんでいた。

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クラス展のひとつ。それぞれクラスごとに研究や調査の成果発表を行っている点では共通しているため、差別化のためいろんな工夫をしていた。手の込んでいる展示も多く、廊下を歩いているだけで楽しめる。ちなみに、クラスごとにアンケートによる投票を行い、優勝を決めるようだ。

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クラス発表の一例、こちらはインターナショナルコース3年で、英語で「平和」をテーマにしたプレゼンを行っていた。手元の簡単なメモだけで流暢に英語で説明をしている。インターナショナルコースは帰国子女などが所属する「Advanced Group」と中学から英語を学び始める「Standard Group」の二つがあり、この生徒がどちらに属するのかは分からないが、中3でここまで英語で堂々とプレゼンをしているのだからスゴイ。

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こちらが今回もっとも注目していた「医進・サイエンスコース」の研究発表会。今回見学したのは「3D」をテーマにした最新事情のまとめで、数人の生徒が「3Dの変遷」「3D表示装置の実態」「医療への活用状況」など切り口を変えてそれぞれプレゼン。ここでは「Da Vinci」という最新の3Dカメラを備えた手術用ロボットの事例が紹介されていた。患者は真ん中のカートに横になり、医師は中央のアーム付近に設置された3Dカメラの映像を参照しながら施術を行うのだという。実際に応用例があるそうで、人間と比べて機械は手術時に「手ぶれ」が無いことや、目視できない場所をカメラの映像を手がかりに施術できるといったメリットがあり、少ない傷で患部への処置が可能、術後の痛みも少なく、回復も早いという。
初めて聞く事ばかりで、面白い+よく纏められていると関心。こうした情報の一部は冒頭に書いた通り、英語の論文などから仕入れて、それを元にwebで情報を集めて一つのレポートにしているという過程が透けて見えた。これくらいの事が出来れば、社会に出ても困る事は全くないだろうし、大学でさらに専門的な研究を進めるのにも大いに力になるだろうなと思った次第。

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こちらは「数学」の研究テーマに取り組むチームの発表。内容的にはすみません殆ど理解できませんでした…。しかし、元ネタは当日会場でも配布されていた英語の論文。数学の専門用語だらけで仕事で英語を使っている私でも殆ど読めないレベルでしたが、プレゼン資料はそのエッセンスをきちんと日本語化し噛み砕いて説明していることは分かった。単語さえ分かればこういう英語の学術論文を中学・高校生でも紐解いて理解し、研究題材にできるんだなーと改めて感心した次第。

 

以上、「文武両道」を強く感じる同校の文化祭レポートでした。高校のクラスでは映像作品の公開などちょっと違った切り口の展示もあったそうなのですが、ちょっと時間が足りずに訪問できず。残念です…。
なお、取材のために学校をあちこち歩き回っているとき、多くの先生や生徒から気持ちのいい挨拶をしていただきました。このへんのホスピタリティも素晴らしい物があるなーと感じた次第。
一番驚いたのが、当方が今回の取材内容や写真の纏めを投稿するよりも先に、既に学園公式サイトに写真アルバムがUPされていたり、動画を編集してこちらに掲載するよりも先に学園公式HPに奇麗に編集された動画が公開されていたりといった、学園側のアクションの早さ。
http://hirogaku.jp/keyaki/2013/

けやき祭が、学生や保護者だけでなく、学校側の並々ならぬ気概で支えられている事にも関心。しかも、公式HPだけでなく、私のような一般の人間を取材として招き入れ、生徒の顔が見える形で情報を公開してもOKというオープンさは、ちょっと普通の公立学校では真似できないところがあるなぁと思った次第。
とはいえ、同校の動きは学校広報や情報公開の在り方、そして良い意味での「保護者の巻き込み方」を考える上でとても参考になるかもしれません。