EverLearning!

Z会 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

新型 iPad は教育用タブレットの新基準になる

 時々、強烈な新製品が、従来の基準を一気に引き上げるということがITの世界ではおきます。日本時間 2018年3月28日、米シカゴで開催された Appleスペシャルイベントで、それが起きました。このブログで幾度となくその価値を伝えてきた「iPad Pro」、その専売特許だったApple Pencil」が、ついに「Pro」の垣根を超えてベーシックモデルでも使えるようになったのです。

 ということで、この記事を読みに来た方で、これまで iPad Pro と Apple Pencil に興味はあったけど、価格がネックでなかなか踏み切れなかった人に最初に結論を言っておきます。Apple Pencil を使ってみたかった方は、今回の新型 iPad は、「買ってよし!」です。実際に私も触ってみてからこの記事を書いてますが、これは廉価版ではなく「iPadの新基準」です。

 で、その「価格」の優位性について。従来は最低でも 69,800円 する iPad Pro ( 10.5インチ 64GBモデルの WiFi 版 ) と Apple Pencil を購入しなければできなかった「手書き」の利便性が、最も安価な 37,800円 ( 新型の 9.7インチ 32GBモデルの WiFi 版 )に Apple Pencil の組み合わせでも享受できるようになりました。その価格差は実に 32,000 円1世代前の 9.7インチの iPad Pro ( 2016年発売モデル ) であれば 69,800 円よりもう少し安かったでしょうが、今回はそれを大幅に下回る価格で、しかもその 2016年 発売の iPad Pro を上回るCPUを備えた端末が、37,800 円で購入できてしまうようになりました。 

 今回の新型 iPad の発表プレゼンテーションでは、最もクリエイティブなツールである Apple Pencil をすべての方にお届けする、というメッセージがありました。下記のビデオの19:50あたりから、その説明が登場します。

 

 私の感覚としては、Apple Pencil を組み合わせた iPad がもたらす体験は、まさに「紙と鉛筆」そのものといっても過言ではなく、場合によってはデジタルの利点が組み合わさり、紙を超える使い勝手を実現するようなシーンも少なくありません。

 Apple Pencil は「クリエイティブ」な用途を強く意識した訴求をしてきたのですが、このブログは教育が中心のブログということもあって、クリエイティブ路線よりも「日常的に使う学びのツール」としての利点を強く訴求してきました。

 私自身は iPad Pro と Apple Pencil を2015年後半に発売された初代 12.9インチモデルから使っています。iPad Pro 歴は早2年半近くになりますが、常に「学習者」として iPad Pro で学んでみた結果をレポートしてきました。その結果として言えることは、Apple Pencil を組み合わせた iPad Pro は、学習用のタブレットとして考えた時には、完全に通常の iPad とは別の製品であり、別次元の使い勝手であり、その使い方も根本的に違う、ということです。

 特に、教育という観点では「手書き」は学びの一つの手段として非常に重要で、私自身も資格試験対策や思考の整理、日常的なメモなどに iPad Pro をほぼ毎日つかっています。

 

 特に「試験勉強用」としておすすめなアプリ「Liquid Text」を紹介したエントリーはNewsPicsにも取り上げられ、過去最大の閲覧数になりました。

 

 が、そうは言っても、iPad Pro + Apple Pencil の組み合わせだと、80,600 円 (税込だと87,000円以上 ) という価格のハードルはなかなかに高く、購入にあたって躊躇する人も多かったと思います。が、それが、従来の最も安い第五世代 iPad と同じ価格で、Apple Pencil が使えるようになったのですから、これで心理的なハードルは一気に下がったと言えるでしょう。

 

 で、実際に新型の iPadApple Pencil を組み合わせて使ってみた印象は、率直に言って「必要十分」でした。一般的な学習用途であれば、今回の 9.7インチ iPad で充分です。CPUの性能も向上し、日常のアプリもサクサク動作しますし、一方でARなどパワフルさが求められる用途にも対応できるレベルが担保されています。iPad の新たなスタンダードモデルと断言して良いでしょう。

 

 加えて、今回のモデルは教育分野向けの特別オファーも用意されているようで、教育機関が購入する場合はさらに2000円程度の値引きが受けられるようです。今後、学校などで導入される iPad は、おそらくこのモデルが基準になってきますので、そうなれば Apple Pencil もセットで導入を検討する学校も出てくることでしょう。そうなれば、その学校の生徒たちは、新世代のノートを常に携え、日々学ぶことができるようになります。先生にとっても、強力な武器になることでしょう。おそらく、今回の新型 iPadApple Pencil を職場が導入してくれら、コピー機の利用頻度は激減、かなりの勢いでペーパーレス化が進むはずです。だって、ほぼ「紙」として使えますからね。

 加えて、iPad 版のOfficeとも言える「Pages」「Numbers」「Keynote」もついにApple Pencil による手書き注釈機能が追加されました。すでに共同編集機能も実現していますので、クラス内でグループがそれぞれの iPad から1枚のワークシートに手書きの成果物をまとめる、ということも可能になるでしょう。そのようなアプリが無料で使えるのも、注目に値します。

 ほかにも、今回の発表では学校や先生向けの教育ツールがたくさん発表されています。一部はまだベータだったり、今後の提供予定とされていますので、これらについてはまた機会を見て本ブログでも紹介したいと思います。

 

 ところで、今回の「スペシャルイベント」では、自分としては iPad の発表と並んで、もうひとつ大きな「事件」がありました。それが、自身の勤め先でもあるZ会が、「プログラミング教育を推進するパートナー企業」という形で紹介されたことです。

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※画像は米Webメディア THE VERGE から引用

https://syllabus.vox-cdn.com/uploads/photo/image/27016/DSCF7209_2500_resized.JPG

 

 実際に当方の職場では Swift Playgrounds を用いてアルゴリズムを学ぶ講習会をやっていたり、MacBook と X code を使ってアプリ開発を体験するセミナーをやったり、それを東京都の高校生や私立中高とタイアップして実施したりといった活動をやってきたのです。


 そうした活動が米Appleの耳にも入ったのか、こうしてティム・クックCEOのKeynoteにおけるスライドという形で紹介されたことは大変、誇らしく思います。

 

 引き続き、教育をICTでどのように拡張していくか。このテーマについて、考えていきたいと思います。

iPadでの学習だと「遊んでしまう」と主張している方へ

 はてなブログでの記事の執筆に加えて、本職のZ会のHPでも記事執筆を担当させていただくことになりました。やはりそちらでも「教育×テクノロジー」を題材とし、おもに iPad を学習にどう活用していくか、という視点で記事を書いていきます。

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教育×テクノロジー | Z会 |

 

 ありがたいことに、このブログは Google で「iPad 学習」とかで検索するとApple Japanよりも先に表示される(2018.1.28現在)という異常事態になっております。特に iPad Pro が学習の上で非常に効果的であることはこれまでの何本かの記事でも記載してきた通りなのですが、どの記事にも必ず共通してみられた反応があります。

 

 それは「iPad で勉強(学習)が出来たとしても、遊んじゃいそう」というものです。

 

 例えば、iPad を導入している先進校を見学したことがあるが、授業中にゲームなどで遊んでいる子がいた」とか「自分はたぶん遊んじゃうから無理」という声が、記事を書くたびに毎回見られるんですよね。

 しかし、よく考えてみると「学校で授業にiPadを導入すると目的外に使う」という意見って、「授業中に手紙を回してる」「教科書やノートに落書きをしている」という話と本質は何にも変わらないんですよね。

 あと、「iPad で勉強できても違うことに使っちゃう」についても、iPad に限らず部屋にあるマンガや別の誘惑に負ける、という話と全く一緒。なんとなく iPad という新しい概念が入ってくるとそれが悪者になることが多いのですが、結局これらって、学ぶ本人の意思の問題なんですよね。

 だからといって iPad に機能制限を加えたところで、中高生以上であれば大抵の人はスマホを持っている訳で、そっちで遊び始めればiPad 側だけ制限したって何の意味もないわけです。かといって、スマホにも必要以上に機能制限するのか、っていったら、たぶんそれは違う。中高生も、そういうことをされることを恐れているんですよね。

 

 ただし、iPadスマホなど、デジタルデバイスを使って学ぶ上で他の手段よりも明らかに「学習の阻害要因」になりうるものがあることは明言が必要です。それは何か。

 

 そうです、「通知」です。

 

 アプリでの勉強中や、講義動画の視聴中に画面上にピコーンとやってくる「通知」。これが友達からのメッセージだったり、興味のある分野のニュースだったりすると、一瞬でそっちに気が取られる人がいてもおかしくない。事実、何かをやろうと思ってスマホタブレットを開いた時、とあるアプリの通知が気になってそちらを開いたら、そっちに夢中になって本来やろうとしていたことを忘れてた、という経験をしたことがある人は大人にも少なくないはずです。

 ということで、iPad を学習に使いたい人(中高生に限らず、資格や試験勉強に挑む社会人の人も含む)のために、「学習の誘惑を断ち切る方法」を記事にしてみました。いっさいお金をかけることがなく、手持ちの iPhoneiPad でもできることですので、是非、ご一読いただけると幸いです。

 題して、iPhoneiPad で学ぶ時の「誘惑」を断ち切る方法 です。

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iPhone や iPad で学ぶときの「誘惑」を断ち切る方法 | Z会 |

 

 上記の記事のポイントは、iPad だけでなく iPhone にも適用できるということ、そして、学習者の目線で書いていること です。

 私自身は、本当は集中したいんだけど(自分の意志力の弱さもあり)それができない、という中高生でした。特に受験生の時には「寝落ちしたら電気ショックがくるような椅子があったら…」とか、「勉強中に違うこと始めたら警告がなる仕組みってないかな…」とか思っていたくらいです。少なからず、同じようなことを考えたことがある人はいるはず(と思いたい)。

 しかしながら、スマホタブレットが学習に役立つことは(昨今 ZIP!おはよう日本 など朝の情報番組などでも紹介されているように)多くの中高生が自身のスマホを大なり小なり、学習にも活用していることから明らかでしょう。ただ、現実的にはスマホの中に入っている他のアプリの誘惑というのは、なかなかに強烈です。

 そこで、そうした誘惑とうまく付き合うための方法を上記の記事に書きました。

 機能制限というとどうしても「大人が一方的に子供に課すもの」というイメージかもしれませんが、必ずしもそういうものではないのです。

 iPhoneiPad に搭載されている iOS にはこうした「学習にも使える便利な機能」が標準搭載されており、それを学習者自身が、自分の意思で誘惑を断ち切るために使う」という使い方もできるのです。こうした活用方法が意外にも知られていないなぁ、と感じたので、記事にしてみました。これらの方法、筆者は結構前から学習に集中するために活用しているので、利便性については間違いないと思いますよ。

 記事の文末には、

こうした機能制限を「誰かから強制される」わけではなく、集中したい時に「自分から進んでやる」ことができれば、学習面において他のiPhone/iPadユーザーにちょっと差がつけられるはず。ゆくゆくは、こうした制限機能を使わなくても、自分自身で誘惑をコントロールできるようになれたら最高ですね。 

 と書きましたが、最終的にはこういう機能に頼らなくてもセルフコントロールができることが、デジタル機器との上手な関係性の作り方になってくると思います。ただ、その過渡期にはこうした機能を上手に使っていただけると良いかな、と思います。使うか使わないかは、他の事情との兼ね合いなので、あくまでこれは「選択肢」です。通知を切っている間に大事な連絡があったら、という不安もあると思いますからね。 

 

 ちなみに上記の記事、設定のための手順を示すスクリーンショット画像を多用していますが、スマートフォンから表示するとiPhone向けの設定手順が、PCやiPadから表示すると iPad 向けの設定手順が、それぞれ自動的に切り替わって表示されるように作ってあります。

 

 

 ということで、このブログの過去記事へのリアクションに対する回答、という形にはなりますが、別の場所で記事を書いたのでご紹介させていただきました。

育児中のiPhoneユーザーに便利なApple Watchの使い方4つ

 先日のiPad Proを用いた試験勉強の記事はNewsPicsやはてなブログ/ブックマーク などで広く取り上げられ、本ブログ開始以来最大となる1日5万アクセスを記録しました。やはりApple製品の購入検討にあたり、背中を押して欲しかった人が一定数いるんだなぁ、ということを感じずにはいられません。

it-education.hatenablog.com

 

 ということで、今回は iPad Pro と同様にApple製品として気になっている人が多いであろう「Apple Watch」について書いてみます。ただ製品のレビューを書いても面白くないので、iPad Pro が「試験勉強」を掛け合わせたのに対し、Apple Watchは「育児」を掛け合わせてみようと思います。

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 当方には執筆時点でまもなく1歳になる子供がいます。が、当初は父親も育児参画の時代だ!とか張り切っておきながら、結局想定していたことの3割もできておらず妻にはゴメンナサイし続けている日々なので、正直言って育児に関係する記事を書いて良いのやら、というところもあります。

 が、できない・慣れないながら育児をしている中で、Apple Watchに助けられたことが何度かあります。日々、育児に奮闘されている方から見ると正直言って「浅い!」とお叱りを受ける部分もあろうかと思いますが、せっかくなので育児中に気づいたApple Watchの意外な便利さについて記録を残しておきたいと思います。紹介する機能の多くは標準アプリでできますが、一部の機能は「本来の使い道」ではないものも含んでおります。

 なお、当方は初代のApple Watchからのユーザーで、昨年秋に2台目となるApple Watch Serise 3 (セルラーモデル)を買い足しました。2本とも現役で使っています。(なぜ2本なのかは後述)

www.apple.com

 

目次

  • 常時、身につけていることの価値
  • 水中モードの意外な活用方法
  • iPhone探索機能を応用する
  • 睡眠記録が活動記録になる

  

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試験勉強に iPad Pro が最強だった件 - iPad Pro 活用方法記事第三弾-

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。前回のエントリーでも宣言した通り、今年は出来るだけブログを頻繁に更新していこうと思います。(今年の目標宣言)

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 さて、今回の記事は、毎回好評をいただいている「iPad Pro」に関するものです。実は、このブログは最近、記事を更新していない間にも勝手にアクセス数が増え続けておりまして、1日500View、月間に15000Viewを恒常的に超えるようになりました。その最大のアクセスが、GoogleやYahooから「iPad Pro 使い方」とか「iPad Pro 活用方法」といったオーガニック検索でここにたどり着く方でして、過去2回のiPad Proの活用方法記事がこれらの検索キーワードで日本のApple 公式サイトの次にヒットするようになってしまいました。おそらく日本におけるiPad Proの販売にそれなりに貢献していると思うのでAppleは当方に何らかのインセンティブをくれるべき。

最初の記事

it-education.hatenablog.com

2本目の記事

it-education.hatenablog.com

 

 しかも、ボーナスの時期やAppleによるiPadの価格改定が行われるとにわかにアクセス数が増えます。今年もAppleの初売り の開催日である1/2に急にアクセス数が増えました。

ふふふ。訪問者のみなさん。わかっているんですよ。

皆さん、購入にあたって、背中を押して欲しいんですよね?

家庭内稟議を通すための、もっともらしい理由が欲しいんですよね?

決して安くない買い物をするにあたって、自分が納得したいのですよね??

 

オーケー分かりました。ということで3本目のiPad Pro記事として今回は「試験勉強」に特化した内容をご紹介しましょう。しかも、前回までの記事からさらに1段、自身の経験をもとに掘り下げた内容です。

 ただ、私は社会人なので試験勉強といっても技術系資格の勉強について書きます。が、内容によってはTOEICなどの英語学習は勿論、学校の試験勉強にも使えるかもしれません。どうせiPadを買うなら、普通のものよりProが良い、という方(場合によっては、中高生や大学生の方)、ぜひ参考にしてください。

 

目次

  • 今回、(再)チャレンジした技術系試験とは
  • iPad Pro × 学習 を考えている人なら是非入れたい「Liquid Text」
  • WebページやPDFから「学びのログ」を集約する
  • 本気で学ぶなら12.9インチを買うべし

 

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Z会での 教育×ICT 2つの再挑戦 -KDDI退職の後日談-

  気がつけば8ヶ月ぶりのブログ更新となりました。前回書いた記事は、前職を退職したときに書いたこちらです。

 この記事は過去最大の反響となり、公開直後は一時1万PV/日となり、SNS等を通じて「会って話したい」というお声も沢山いただきました。その後も、初対面の方から「ブログ読みました」と言われたことも数知れず。多くは教育ICT関係者ですが「物凄く良く分かります」「同じことで悩んでいます」という意見を大抵はいただき、教育分野の市場性探索やマネタイズに試行錯誤しつつ、事業を通じて教育分野を良くしたい方がこんなにも多いのか、と勇気付けられました。

 

 さて、当該記事の執筆(=前職の退職)直後の5/1、私は静岡県三島市に本拠地を置く教育企業「Z会」の一員になりました。

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 Z会というと最近では海外企業や教育系ベンチャーに出資したり、ドラスティックな変化を続けている印象があるかと思いますが、背景には85年以上の高品質・高付加価値な通信教育と添削指導の実績があります。時代に合わせて形を変えつつ、全国により良い教育機会を提供する挑戦を続けている点に魅力を感じ、この会社の門を叩きました。(もう一つ、決定的だった理由があるのですが、それは後述します)

 また、難関大学受験向けに難易度が高い問題を出すイメージが強いかと思いますが、グループ全体で幼児・小学生から社会人まで広い年齢層に教育サービスを展開しています。通信教育だけでなく、速読英単語をはじめとする書籍の出版、模擬試験、私立学校向け検定外教科書の提供、学校のICT化支援、塾事業、英語4技能や非認知スキルのアセスメントなどなど、かなり広い領域を手がけています。私はその中の「ICT事業部」という部署で、ずっと考えていた「ICTによる教育の拡張」を事業として担当できることになりました。

 前置きが長くなりましたが、5/1の入社から今日まで、そしてこれから取り組もうと考えている2つのことを今日は書いてみたいと思います。

1. 英語「で」学べる日本人を一人でも増やしたい
2. 思考や表現、そして協働する機会をICTで身近にしたい

 たった2つですが、それぞれがそれなりに長いので、順を追って書いていきます。

 

1. 英語「で」学べる日本人を一人でも増やしたい

 私の英語力はTOEICは855と決して十分なレベルではありませんが、過去の記事にある通り、ある程度の勉強を続けて英語の文献やプレゼンテーションはほぼ理解できるようになりました。

 その結果、英語「で」学ぶことができるだけで、こんなに学びの選択肢が増えるのか、という事を知ることができました。

 日本語が使える人は世界的には少なくはないものの、英語のその数とは雲泥の差です。よって、英語が使えると、母数が多い分、安価で質の高い学びの選択肢が増えます。その一つがMOOCsに代表される、海外の大学の講義などをオンラインで好きな時に受講でき、要件を満たせば「修了証」ももらえるサービスです。私はZ会に入社直後、最初の業務としてMOOCsの一種である「Coursera」の日本展開を担当したのですが、ここで私は英語「で」学ぶことの重要性を再認識するに至ります。

 正直最初は、英語の講義をわざわざ受けなくても、JMOOCdocomo gaccoのように日本語で大学やそれ相当の学びをオンラインで享受できると思っていたのですが、いざ海外のMOOCsを掘り下げていくと、かなりの差があることが分かりました。

 それは、圧倒的なコンテンツの量と質、そして「最先端」の領域をタイムリーに学べるという価値でした。例えばCourseraで言えば、


IBMが提供する、Raspberry Pi を用いてWatson および Bluemix を活用しながらIoTの基礎を習得できる講座

Googleが提供する、Google Cloud Platform(GCP)のGoogle公式資格の対策ができる講座

・Courseraの創立者でもあるAndrew Ng氏によるAIやDeepLearning の最先端を学ぶことができる講座

・技術系以外にも、日本では少ない「学び方」を学ぶ講座や、「フェイクニュースを見分ける」などのリテラシー育成に寄与するような講座

 など。

 特にGoogleはオンラインでは現状、GCPの資格対策講座はオンラインではCourseraでしか提供していないようで、企業からも結構引き合いがあることに当初はびっくりしたものです。

※ここまでの講座リンクはなんらアフィリエイトや追跡タグなど埋め込んでいませんので安心して踏んでください。私はブログを通して稼ごうという気は微塵もありませんので(笑)ただ、同じ講座を有償受講するなら、Z会を通じて購入した方が本家の2-3ヶ月分の費用で1年の学習権を購入できるので、お得です。

 こうしたIT系の先端領域は、英語の方がコンテンツのリリースが圧倒的に早いので、英語「で」学べる、という利点はこういうところにあるのだな、という点を強く実感しました。しかも、座学講座と比べて価格は1/10くらいで、ちゃんと「修了証」も取れる。ということで、私も入社早々、いくつか講義をとって自分のペースで学んでいます。

 ちなみに、資格や学位の取得ができる講座も(これはCourseraに限らず)あります。例えば、TESOLなど英語を「教える」スキルを認定する資格MBA経営学修士)の資格をオンラインで(通学せずに)取得することもできます。これらは一定のコストと忍耐が必要ですが、こうした資格や学位を日本にいながら低コスト(留学と比較すれば数十分の1以下)で学べるのですから、良い時代になったものです。

 ただ、実態としては「英語」で講座が提供されていることが、多くの人にとって心理的ハードルになっています。中高大と時間をかけて英語を学んできたのに、それを使って「学ぶ」という行為に移れる人は本当に少ない、という事実も同時に知りました。

 こうして私は、全ての世代がもっと英語を「使える」ようになり、英語「で」学ぶという選択肢を取れるようにしたい、と考えるに至りました。今はスマートフォンタブレット、場合によっては翻訳デバイスなどの力を借りれば、英語「で」学ぶことが昔よりもずっと簡単になっています。「学び方」も、私たちが中高生の時の紙と鉛筆「だけ」というスタイルに加え、当ブログで何度か紹介しているiPad Proを使った「新しい形」の学びなど、英語を効率的に、かつ身近に学ぶ方法が沢山あります。

 私も社会人になった頃は、TOEIC400点台でしたが、少しずつ積み重ねていき、最終的に一定レベルまで伸ばすことができました。英語は必ず、「使える」ようになります。だって、言語ですから。

 私が大好きなソニーの創業者の一人、井深大さんは「仕事の報酬は仕事」という名言を残しました。これを「学びの報酬は学び」と換言もできると私は考えています。特に英語はその好例で、世界の幅広い学びのリソースにアクセスでき、多くの人と繋がり、交流もできる。まさに学びの報酬として相応しい対価だと考えています。ということでまず私は、世代を問わず、英語「で」学べる人を一人でも増やすために、動いていこうと思っています。

 

2. 思考や表現、そして協働する機会をICTで身近にしたい

 一つ目の「英語」の学びもそうですが、私たちはこれまで「受験勉強」や「資格の勉強」を通していわゆる「知識や技能」を得てきました。前述の通り、ICTはその取得にあたり有効な手段になり得ます。ただ、当たり前のことですが、知識や技能は、それを「活用」したり、それを使って「思考」して新しい価値を作り出したり、「表現」することで自身の考えや人となりを伝えてこそ意味があります。さらに、課題を解決するために知識や技能、思考や発想を複数のチームメンバーに共有し、それぞれで「協働」することが、社会で生きていくためには不可欠と言えます。

 実は、これらの「知識・技能」「思考力・判断力」「主体性・協働性・多様性」といったスキルは「学力の3要素」という形で随分昔から学習指導要領に表現されていました。

【学力の3要素】
1:知識・技能の確実な習得
2:(1を基にした)思考力、 判断力、表現力
3:主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
(出典)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/15/1381780_3.pdf

 ただ、これまでの学校教育は多くが大学入試をマイルストーンとして設計されており、その大学入試が「知識・技能」を中心に問うていることが度々、問題視されてきました。実はこの点が「高大接続改革」と呼ばれる、高校教育・大学入試・大学教育の一体的な改革と、それと連動した小中学教育の「学習指導要領の見直し」を通じて変わっていきます。2020年度よりセンター試験は新しい試験に移行し、数学と国語で「記述式問題」が部分導入されるほか、大学の個別選抜試験も小論文や面接、調査書などを複合的に組み合わせ、その大学の学びの在り方に呼応したスキルを持っているかを複合的に合否を判断する方式に移行するとされています。ただし、知識や技能が問われないのではありません。知識や技能が「あることを前提として」、考えたり表現したり、他の人と協働したりするスキルが問われる割合が増える、という意味合いです。

 これらの変化は社会で生きている多くの大人たちにとっては歓迎したい動きと言えると思います。しかし、実際にこれが起きると、「思考力・表現力」や「主体性・協働性」といった別軸の学力を伸ばすための「適切な機会」が今よりも多く必要になります。実は私は、この点に大きな不安を抱えています。

 というのも、「知識・技能」は自分一人で机に向かって取り組めば身につけることができることが多いのに対し、「思考力・表現力」は自力でできる範囲が狭まる、さらに「協働性・多様性・主体性」については、そもそも複数の人がいることが前提になるので、益々その力を伸ばす機会を得ることが難しくなります。しかも、知識・技能と比べて一朝一夕に伸びるスキルでもないので、時間もかかるでしょう。

 前者については、小論文にしても、英会話にしても、答えが一意に定まらず、この記事の執筆時時点の技術では高精度が求められる受験に自動採点技術を適用するのは難しいと見ています。よって、この領域の学びにはまだまだ「人の力」が必要と言えます。後者については、現時点では学校がその機会を提供しうる最適な場所ではあるものの、まだ40人の生徒を一人の先生が教え、生徒同士のやりとりが限定的な「一斉授業」が多いのが実態です。(逆に言えば、この部分に自信を持って反論できる学校は、きっと入試が変わろうが社会に変化が起きようが、その学校の特色を発揮し強みが活き続ける学校だと思います)

 仮に、この部分が学校で充分に補えないと、学校の外部、つまり塾などの「私教育」で補う事になります。私が所属するZ会はまさに「私教育」を構成する一員ですが、今回の社会変化を手放しでビジネスチャンスだ!とは、とても思えません。確かに、短期的には「機会」かもしれませんが、私教育に投下できる予算、つまり家庭の経済的余裕が教育機会の格差に繋がってしまうとしたら、長期的には市場のシュリンクになりうるとも懸念しています。従来でも「経済格差が学力格差になる」と度々指摘されますが、それが加速することは避けたい。もちろん、この部分が学校、特に高等学校の先生方が奮闘し、杞憂に終わることを願っているのですが、私個人としてはまだ不安が残っています。

 ただ、このギャップを埋めるために今こそ活かすべきと考えているのが、ICTです。企業でもICTはコミュニケーションやコラボレーションを迅速化するために当たり前に使っています。教育×ICTの世界についても、ICTを活用することで知識や技能の習得を効率化する仕組みは多数登場しており、特にAIや学習データ分析は効果を挙げつつあると感じています。本来10時間必要だったことが1時間で学べれば、残りの9時間で他の学びに集中する時間が得られるかもしれません。

 しかし。そうして生み出された時間が、思考力・表現力や協働性・主体性の育成に向けられるのか? 時間が確保できれば、そうした学びへのアクセスは可能なのか?、と言われれば、NOだと私は考えています。時間だけでなく「人」と「お金」の問題が絡むからです。

 ということで、私はこうした現状認識と課題感から「知識・技能」の先の学びを「身近」にする、つまり「時間」は既存の教育×ICTサービスが「知識・技能」の獲得を効率化することである程度創出してくれる可能性を信じつつ、その先の学びに必要な「人」と「お金」のハードルを下げ、ちゃんと「次の学び」に繋がる仕組みを担保したいと考えました。実は、私がZ会の門を叩いたひとつの理由が、Z会がそれをやろうとしていたからです。「それ」とは、7月にリリースされた「Z会 Asteria 総合探究講座」のことです。

 この講座には、全国からオンラインで集まった3人の生徒+ファシリテーターと呼ばれる講師による「協働学習」という仕組みがあります。60分間、決められた時間枠にオンラインの仮想空間に集まり、相互にコミュニケーションしながらファシリテータの指導のもとで「答えのない課題」に挑むというものです。

 学校での議論とは違い、反論や議論に日常の友人関係が影響する事はありませんし、他の受講生は声は聞こえるものの、顔や表情は見えません。一緒に学ぶメンバーも毎回シャッフルされます。つまり、遠慮なく「自分の意見が言いやすい」環境になっているのです。もちろん、オンラインなので通学も不要。これを初めて知った時に私は「通信教育の新しい可能性」と「ICTがこれからの学びの機会を身近に、かつ安価に提供するドライバになっている」と感じました。(価格も、月7800円で協働学習(月1回)と、それに対応する対人スキルを伸ばせる「個人学習」、各業界の第一人者によるライブ授業が受けられる探究学習(月1回)が全部セットになっていて、テーマとなる業界は毎月変わります)

 とはいえ、協働的な学びは、社会ではある意味「当たり前」であるため、その価値がなかなか認識されていません。しかもそうした要素が高大接続改革の中で重要性を増していることは、まだまだ一般の多くの方が知るところではないのが実情です。しかしながら、協働、すなわちコラボレーションはこれから社会に出て行く上で絶対に必要なスキルの一つ。協働する相手は、人とは限らず、場合によっては機械かもしれませんが、その場合には必要な要件を確実に伝えるための「表現力」も重要になっていくでしょう。この価値を大事に育てていきたいと思っています。

 

www.zkai.co.jp

 ということで、5月に転職してから8ヶ月ほど、私は「英語で学ぶ」と「協働的に学ぶ」という2点を、ICTを通じてより広く、身近にするという事に注力しています。以前から私が掲げている「ICTで教育を拡張する」という軸はそのままにしつつ、教育企業の中で教育そのものを私自身も学びながら、明確なターゲットと「やるべき事」、そしてその「事業性」を意識しながら、教育をより良くしていくために再挑戦を続けています。

 

 今回の投稿を機に、ブログも少しずつ再開していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

企業として教育分野に働きかけて得た5つの反省点 -KDDI退職にあたっての振り返り-

 突然ですが、2017年430日を以って、KDDIを退職する事になりました。本エントリーはKDDI所属として書く最後の記事という事になります。

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 今後については追って報告しようと思いますが、”KDDIの野本”として、教育をICTで拡張するためのチャレンジはここで一旦終了となります。そこで、良い機会なので会社を通して教育分野に対して動いてきた事を踏まえ、書ける範囲でこれまでの”振り返り”をしてみようと思っています。あくまで本記事は「私個人の考え方」にすぎませんが、企業目線で教育分野の”ICT化の推進”を考え、動く中で自身の課題と感じた反省点を5つにまとめました。同じように企業としてこの分野に挑む方や、参入を検討している方に何らかの形で参考になれば幸いです。

 なお、本エントリーはそれなりに長いです。また、いわゆる「退職エントリー」ではなく、いくら読み進めても「KDDIの何が不満で辞めたのか」とか、そういう内容は一切出てきません。あらかじめご容赦ください(笑)。

 

今回、強い自戒の意味で書き残しておきたい「5つの反省点」は、以下の通りです。

1. 自身の教育×ICT分野における”軸”が明確ではなかった

2. 教育を”事業”として成り立たせるための勉強が足りなかった

3. フロー情報に惑わされすぎた

4. ”ICT”が教育を変えると誤解していた

5. ”教育”そのものの理解が圧倒的に不足していた

 

順番に記載していきます。

 

1. 自身の教育×ICT分野における”軸”が明確ではなかった

 私が「教育×ICT」に強い関心を持ったのは、自身が大学受験(特に数学IIIC)の学習で非常に苦労する中、浪人中に触れた「海外の動く数学解説動画」で理解できなかった数学の疑問が一瞬で氷解した経験からです。なぜこれを学校では使わないのか。こうしたツールがある事で救われる人はたくさんいるのではないか。そうした思いから、教育の可能性をICTで”拡張”したい、と考えるようになりました。この想いから、大学・大学院では情報工学の立場から教育へのアプローチを考える活動を続け、卒業後はKDDIICT側の立場から教育をどうしていくかを考え続けていきました。

 ただ、実際に仕事で教育分野に携わる事になってからも、”教育”という広い領域のどこにアプローチするかが、明確にならないままでした。ひと口に教育といっても、学校で言えば幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、社会人学校までありますし、学校の設立母体で言えば国立・公立、私立、株式会社立といろいろあります。さらには学校以外にも塾や家庭教師・家庭学習の領域もあれば、そもそも教える内容が学習指導要領の範疇か、それ以外の領域か、と非常に細分化できます。その中で、自身がどこのどの課題に対して働きかけるかが、ハッキリと絞り込めないままでいたのです。

 ある時は貧困対策が気になり、ある時は公立学校・教育委員会へのアピールに傾倒したり、ある時は個人向け事業を検討したりして、”教育をICTで拡張する”という当初の目標だけは持ちながらも、各種領域をフラフラとして「どの部分をICTにより”拡張”させ、課題の解決につなげるのか」が曖昧なままだったのです。

 これは、KDDIが教育分野から見ればニュートラルな立ち位置に居たことも遠因かもしれません(会社が悪いわけではなく、会社の立ち位置に甘えていた自分が悪い)。様々な業界・領域の方と接点が持てるメリットは非常に大きかったのですが、結果として課題を絞り込み、そこにコミットする勇気や、何かを取ることで何かを捨てたり敵に回す覚悟を持てず、八方美人的な振る舞いに終始した私の心の弱さの表れだったと反省しています。

 

2. 教育を”事業”として成り立たせるための勉強が足りなかった

 企業として教育分野にアプローチするには、それを通じてお金を稼げる事、そして利益が出てそれを源泉に次のアクションに繋げていく事が不可欠になります。いくら教育分野に対する情熱があっても、その活動が組織の掲げる目標(売上・利益・顧客接点・顧客数・継続率などのKPI)に貢献出来ないならば、それはボランティア活動とか個人の時間でやってください、という話になるのは当然のことです。

 一方で、教育分野ではボランタリー精神で個人の時間が費やされることで動く仕組みが随所にあったり、本来なら有償であるべき品質の高いサービスが無償もしくは圧倒的なディスカウント価格で提供されたりするケースが多いのです。しかも教育現場もそうした”支援”に慣れている所があります。特にICT関係は、SEなどの技術力が必要なケースが多い一方で、技術力やノウハウ、保守運用といった無形のものにもお金が必要なことは中々理解されていません。利益が殆ど出ないにも関わらず「買ったのだからサービスしてもらって当然」という言われ方をする事も少なくないのです。

 ただ、自治体・学校・医療・介護といったアナログの割合が多い業界は、ICT化の市場がまだ残っている領域です。IT企業にとってはまさに「フロンティア」なのですが、今までの企業の営業スタイル(いわゆる一般的なBtoBの商習慣)が通用しにくく、ICT化が進んでいないゆえに机上調査で出てくる情報も限定的、さらにそれぞれの領域に独特の文化があって、それに触れるには実際に現場の人と接点や交遊範囲を持たないと難しい、といった高い参入障壁もあります。参入しても、当然その領域で長く活躍している既存のプレーヤーが強く、安売りによって売上は多少上がっても利益が付いてこない可能性が高い。利益が上がらなければ人もモノも投資できないため、継続的な事業活動が出来ない。結局、大抵の企業は「技術料対価をきちんと払ってくれる=利益が出しやすい」業界を優先する。おそらく、教育分野に参入を試みても撤退する企業が多い一つの理由は、ここにあるのだと思います。

 しかも、これらの残された領域はいずれも一度導入した仕組みが途中で無くなると影響が極めて大きいと言えます。しかし、教育分野では「実証実験」と称して一時的にICT環境が整備され、それをマスコミが取材し情報だけは拡散されたものの、事業が継続できる仕組みが確立できず、後に機材が撤収され生徒児童も教職員も困惑する、ということが全国の各所で起きています。(その事実は殆ど報道されたり、大きく指摘されることもないように感じています…。)

 そうした課題を認識し、打ち破ることが重要なのですが、当方の場合はそれを認識していながら、「継続的に利益を確保しながら現場に貢献し続けられる”ビジネスモデル”」が構築できなかったのです。言い換えれば、制約条件を踏まえた上でビジネスモデルを立案できるだけの勉強が足りなかった。せっかく、教育分野に仕事として関われる機会をいただきながら、1.で述べた”軸”が明確でなかったことも一因となり、課題に対する解決策を熟考できなかったのが二つ目の反省点です。

 

3. フロー情報に惑わされすぎた

 教育業界に関わっていると、FacebookTwitterなどのSNSで日々流れてくる業界の情報(フロー情報、参考:https://www.idia.jp/report/stock-and-flow-information/)がどうしても気になってきます。業界の著名人や、強いポリシーで教育×ICTを推進し実践されている先生方、それを同じくらい強い想いで支えている企業や自治体・学者の方、場合によっては中央省庁の方などの声も入ってきます。それ自体は私が人脈に恵まれたこともあり、ありがたいことなのですが、問題はそうした方々の発言内容と、発言者の「立場」や「実践内容」・「経験の長さ」といったステータスが分離できず、「誰の発言か」によって自身の解釈が多少なりとも振り回されることがあったことです。

 具体的には、学習指導要領の改訂であったり、プログラミングや道徳、英語の義務教育への取り入れであったり、部活動や校務のあり方であったり、通学や学校周辺の安全性であったりと、教育を取り巻く話題は幅広く、時にセンセーショナルに取り上げられます。そうした情報に対する意見が誰の発言かを見てしまう部分が少なからずありました。それ自体はある程度仕方ないのかもしれませんが、悪い事に自身の「人に影響されやすい性格」も相まって、いつのまにかそうした「発言力がある人」「業界の重鎮」と言われる人や、統計データなどを用いて「もっともらしく主張をしている」人の論に流されてしまっていました。

 常々、私は「人と論を分けて考える」ことを意識しようとしているつもりです(人間として微妙な人でも、その人の特定の論や意見が正しい時には支持する、逆も然り)。特に教育のステークホルダーとしては教職員などの教育従事者だけでなく、保護者の目線、そして何よりも学習者(児童生徒学生)の目線、そして2.でも述べた「売上・利益などの経済的な目線」などを包含しバランス良く考えるべきで、だからこそ「教育に詳しくない普通の人」が一見微妙に見える発言をしていても、その中には重要な示唆が多く含まれると考えています。

 しかし、どうしても発言の多い「教育に携わる業界人」の情報が周囲に多くなってくると、それらの声に影響されてしまいます。更に言えば、そうした業界人の中には○○/△△派といったような、複数の思想の系統が並存し、それぞれが独自の実践や試行錯誤に立脚した強い想いで主張が飛び交っています。本来、自身の主義主張や想いが明確になっていれば、そうした意見の自身に合う部分とそうでない部分を見極めた上で検討ができるのですが、それがない自分は、それぞれの主張の中庸を取り、誰とも対立しないように無難な意見に落ち着かせようとしていました。本来ならば、本や過去の研究・論文などの「ストック情報」を丁寧に読み解き、事実と感情を切り離し、教育を多方面から立体的に考えることが必要だったのです。

 原因は明確で、1.の”軸”がきちんと定まっていないこと、そして進むべき道とも言える2.のビジネスモデルが固まっていないこと、そして後述の4,5も影響したのだと思っています。これが3つ目の反省点です。

 

4. ICT”が教育を変えると誤解していた

 よくiPadが学校・授業・教育を変える」とか「ICTによる教育イノベーション」とか、そういった表現がメディアの見出しに踊っています。何を隠そう、私自身もブログや一部のwebメディアに寄稿するにあたり、そうした”ICT万能論”風の論調に加勢し、業界を扇動しようとしていた部分があったことを素直に認め、反省しています。これが4つ目の反省点です。ちなみに、この事に気づいて以来、私はwebメディアに記事を寄稿することを原則やめ、主に「自身が学習者の立場でICTを活用した実践報告」や「ICTの導入を技術的にサポートする人のための情報発信」に絞って発信をするようにしました。

 正直に言って、ICTのインフラやタブレットなどのデバイス、その上で動作するアプリは「名脇役」ではあれど、「人」の介在が全くないところで勝手に浸透するものではありません。学校であれば教職員、自宅であれば保護者、塾であれば講師、toC向け学習アプリならば「一緒に学ぶ友人」や「おすすめしてくれる信頼できる人」など、教育とその周辺価値を動かしているのは実質的に「人」だからです。もちろん、友人や大人の介在を最小限にして独力で走れる学習者も中にはいますが、それは全体から見たらほんの一握りの人であり、真に浸透させて教育分野に山積する”課題”を具体的に解決させたいのであれば、”人の力”なしには成し得ないと私は考えます。

 一方で、人の力だけで課題を乗り切ろうとすれば、それは多くの場合「根性論」的なものに帰結し”労働搾取”のような方向性になってしまいかねません。よって、人の力でより良い教育を追い求めることと、ICTで教育の課題解決を追い求めることは、両輪として進めていくべきことと考えています。(結果、私は後者の「ICTで教育の課題解決を追い求めている人」にフォーカスし、その人に役立つ情報で自身が出せるものに絞って記事を書くようにしました。この点だけは、自身の中で絞り込みができました。)

 ちなみに、私は”ICTが”教育を変えるわけではないことを、学生時代の塾講師のアルバイトで一度認識しています。しかし、企業の中で生きているうちに、どこかでICT中心マインドに戻ってしまい、締め切りに追われてきちんとした考察をしないまま脱稿した記事で「ICT万能論」の拡散に加担し、さらにそうした論調を教育関係の方に言ってしまって反感を買っていた部分も多々あったと猛省しています。

 正直に言うと、ICTによる「イノベーション」とか「パラダイムシフト」といった言葉って、なんだかカッコいいし、体裁の良さそうな見せ方をするにはとても都合の良い言葉なんです。なので文字数に制限のある原稿やプレゼンを作ろうとすると、どうしてもこうした耳障りの良い用語を使ってしまうことが多々ありました。でも、それを一歩引いた目で見直して、それがどのように教育の関係者に解釈されるものなのか、大した実体もないものを言葉で不必要に大きく見せようとしているのではないか、そのための出汁としてICTのメリットだけを過大に誇張していたのではないか、それにより一旦は人や仕事や案件を動かすことができても、その先の最も重要な「持続性」という部分に貢献できない状況を自ら作り出していたのではないかこうした反省がだんだんと、強くなっていきました。この点は、次の5.に挙げる課題に真摯に向き合うことで、解決に向かわせたいと思います。

 

5. ”教育”そのものの理解が圧倒的に不足していた

 最後にして最も大きな課題がこれです。教育は、自身が児童生徒・学生である期間を大抵の人が経験していることもあり、ある意味「1億総評論家」になりうる領域とも言えます。自身も、冒頭に述べた通り浪人時代に触れたICTの可能性が行動の原動力になった他、小学校1年生の時にアメリカから帰国した際の日米の教育習慣やクラスメートの雰囲気の違いで少なからず”嫌な思い”もしています。そうした直接経験がその後の教育観点の基準になっている部分が多分にあります。

 だからといって、自身の経験・体験がすべてのケースに適用できるわけでは、当然、ありません。私が”既存の教育”の内容を理解していたか、学校教育に関する法規や意思決定構造や、中央省庁やその諮問機関がどのような検討をし、複数の施策や検討体の議論と方向性がどう結びついているか、それらの文献や情報・それを取り巻く議論にどの程度触れたのかというと、間違いなく自身は”勉強不足”でしたし、時には”誤解”もありました。しかも、私は教育学部の出身でもありませんし、教育実習の経験も教職課程の受講歴もありません。教育の現場に関わった経験はせいぜい、3年間の塾講師経験くらいで、それを”教育経験”と称してみても、現場で実践を日々積まれている方から見ればゼロに毛が生えた程度のものにすぎません。

 そのくせ、両親が教育関係者で、幼少期からこの分野の話を聞いて育ってきたこと、自身でも教育とICTという領域に対して長く主体的に考えてきたこともあり「この分野には一定の経験値がある」というプライドが先行してしまいました。そうした私がブログやwebの記事で、さも「教育をわかっている風」に文言を並び立てる様子は、この業界に長く真剣に取り組まれている方にとっては非常に不快に写ったことと思います。事実厳しい指摘も何度も頂きました。この点は本当に猛省しています。申し訳有りません。

 この状況を打破すべく四苦八苦していたわけですが、最後まで私を悩ませたのが「絶対的な時間の不足」でした。といってもそれは自身が原因なのですが…。それは、これまで記載してきた通り、注力分野とそこへのアプローチ手段が曖昧であり、広い分野の情報を無理にインプットしようとしたという失敗に尽きます。”教育とICT”を標榜する様々なセミナーやイベントに足を運んだり、中途半端にいろんな文献や情報を仕入れて耳年増のようになったり、それらの情報が消化不良になってアウトプットが全て中途半端になっていたり、という状況でした。

 結果、準備や計画が明らかに不足している中で見切りで動こうとし、自身の教育の知見そのものが足りないこと、そして課題やビジネスモデルが絞れていないが故に解決に向けた時間が足りないことから、物事が動かせずに終わっていった例は枚挙にいとまがありません。よく言われる”走りながら考える”を意識したこともあるのですが、それは少なくとも走る方向と手段が決まっていて、それを推進するために出てきた種々の課題に対して使う言葉であって、私のように何も決まっていないのにとりあえず走る時に意識するものではありません。時にその無謀なランニングに他の人を巻き込んでしまい、結果としてその人の期待を裏切ったり、がっかりさせるケースを積み重ねてしまいました。

 ただ、これだけの反省点を抱えながらも、私は教育の分野から離脱することは当面、考えていません。教育という領域を通して社会に横たわる多くの課題を一つでも解決・改善したいというのが私の人生の至上命題だと本気で思っていますので、まだまだ足りませんが、これからも”教育”を理解するための努力を重ねていきます。自身が学ぶことをやめたら教育という業界に関わっている人間としては実質的に死んでいるのと同じだと考えていますので、5.が私にとっての1番の重要課題でです。

 

 

ということで、5つの反省点について書いてみました。

 多くの方が口を揃えておっしゃることではありますが、ICT化されずに残っている領域には、それなりの理由があり、そこに挑むのであれば充分な計画と準備、そしてその領域の勉強が必要であることは、本当にその通りです。同じことは、ICT化の次の段階として考えられるIoTAIの導入でも言えるかもしれません。

 

 以上が私の約8年間のKDDIでの社会人生活を通じて学んだ反省点です。多くの反省は残ったのですが、後悔はしていません。こうした経験をさせてくれたKDDIには本当に感謝していますし、KDDIという会社は、今までもこれからも、私の大好きな会社であり続けることは間違いないと思います。というのも、今回の退職は個人や家庭の事情によるもので、KDDIが嫌になったわけでも、KDDIとして動くことが嫌になったわけでもないからです。

 KDDIは私にとって最初から最後まで「いい会社」でした。当方のように2浪して決して有名・有力とも言えない大学出身者をきちんと受け入れてくれたこと、配属直後の若手の意見を立場のある方がきちんと聞いてくれたこと、その結果として若手のうちから課題に働きかける機会を与えてくれたこと、学歴ではなく人と仕事を見てくれたこと、故にこんな自分でも管理職登用のチャンスを与えてくれて、実際に登用してくれたこと、など。社員の皆さんも総じて物腰が柔らかい「いい人」が多くて、手堅いけれどチャレンジする風土があり、ベンチャー企業に対する理解もある、などなど。いろんな意味で、良い会社でした。
(あと完全に余談ですが、毎朝本社ビルの1Fで掃除をしながら一人一人に気持ちの良い挨拶をしてくれるおばちゃんは本気でレスペクトしてます)

 

 次のステップでも、教育には関わり続けます。が、嬉しい事にこの1月に第一子に恵まれ、家庭での役割もより重要になりました。そうした事情から、仕事を通して1-5の反省点に向き合い、家庭では家庭としての役割もしっかりとつとめながら、前に進むべく、心機一転、頑張っていきたいと思います。

 

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。そして、KDDIを通じてお世話になったすべての方に、この場を借りて御礼申し上げます。

1年の独学でTOEICを115点上げた話

教育ICTの話題を扱う本ブログらしく、今日は学生から社会人まで関心が高いとされている「TOEIC」について書いてみます。

当方は幼稚園から小学校1年生の2年弱アメリカに住んでいたり、高校で2週間のホームステイを経験したり、入社から約5年間仕事で英語を使う部門にいたりと、幼少期から英語に触れる機会が多い方だった割にはTOEICの点数が低かったのです。それは、仕事で英語を使う相手はノンネイティブなアジア圏向けが多く、「中3レベルで良いから簡単な表現で正確に伝わること」を重要視した故、表現の幅が広がらなかったせいだと思います(一方で、とにかく”相手を動かす”ために多少の文法やスペルミスは臆せず書く・話すこと、わからなければ何度でも聞き返す・確認するといった”度胸”は随分身につきましたが)。

入社から5年経過した後は、英語を全く使わない部門に異動になったので、このままだと英語力が落ちてしまうし、今後英語で仕事をするときに不味いよなぁ、と思い、昨年は「1年かけてTOEICのスコアを伸ばす!」という目標を定めていました。

 

いきなり結論、でどうなったの?

1年間、独学かつ自分の時間で色々やってみたのですが、結果としてスコアは115点上がり、直近のTOEICでは855になりました。

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2015年12月13日の結果(740)が年明け早々に出てから1年ちょっと勉強し、今年の1月29日に受験した回(一番上)で855になった、という状況です。ちなみに、真ん中のスコアは、後述する”ある教材”を「使用する前」、上段はそれを「使用した後」のスコアでもあります。

 

で、なにやったの?

740->835 までスコアを持ち上げるために11ヶ月でやったことは主に以下の通り。
ちなみにこの期間、お金がかかるサービスは一切使ってません。

TOEIC English Upgrader をひたすら聞く

TOEIC presents English Upgrader

TOEIC presents English Upgrader

  • The Institute for International Business Communication
  • 教育
  • 無料

 TOEIC対策のド定番とも言える無料アプリです。iOSAndroid両対応(リンクはiOS向け)。1stシリーズから5thシリーズまで63のエピソードが収録されています。しかも、すべての台本について日本語訳と英文スクリプトが付いており、下手な参考書を買うよりもよっぽど勉強になります。ちなみにPodcastも同様のコンテンツがあり、こちらの方が1エピソードあたりの時間が長め。運転中や通勤中のリスニング教材として最適です。

 

Appleの発表会を欠かさず見る

www.apple.com

Appleの新商品発表会のプレゼン(Keynote)は、比較的ゆっくりはっきりとした英語で話してくれるし、平易な単語が中心なのでリスニング教材として良いと感じています。かつ「今回は何が出るかな…?」と楽しみながら視聴できます。(リアルタイムに視聴するには夜中の2時とかに起きないといけないので大変ではありますが)
また、以前も紹介したWWDCのアプリにはこうしたKeynote動画がたくさん格納されていて、ネタには事欠きません。
ただ、これらのムービーには基本的に字幕がないので、ある程度内容がわからないと辛くなってくるかもしれません。

 

・mikan や zuknow で単語力を鍛える

 

英単語アプリ mikan

英単語アプリ mikan

  • mikan Co.,Ltd.
  • 教育
  • 無料

どちらも無料(一部利用方法によっては無料)の英単語学習アプリです。zuknowは紙の「単語カード」を置き換えるような使い方をするアプリで、自分でわからなかった単語を記録して自分で復習したい時にとても便利。mikanはTOEICの目標スコアに応じてあらかじめセットされた単語が次々に出題されるので、新規で単語を覚えたい時に便利です。どちらもプレミアムコンテンツ利用時や一定以上の学習量の時には課金されますが、無料の範囲でもかなり使えます。

 

・興味のある分野の英語記事を読む

知りたい情報は英語でも多少は頑張って知ろうとするものです。私は、教育関係(OECDのレポート)とか、Apple製品に関連する内容の記事を「なるべく単語の意味を調べず、早く読む」ということを意識し、分量を多めに読んでみました。これは時間との戦いであるTOEICのリーディングパートに対応できる「速読力」を身につける目的です。どうしてもわからない、頻出のキーワード単語などはその場で意味を調べて、Zuknowに放り込むことで後から振り返りやすいようにしました。結果、昨年12/11に受けたTOEICではほぼ最後までリーディングパートを解くことができるスピードになりました。

 

こうした結果、リスニングが435->450に15点UP、リーディングは305->385と80点の大幅UPを達成しました。一方で、ある課題に気づきます。

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他の項目はだいたい伸びているのですが、文法だけは完全に横ばいだったのです。そりゃ、リスニングやリーディングの勉強ばかりしてても文法力はなかなか伸びないよなぁ、と一人で勝手に納得して、ここで「ある教材」を特定の目的で使うことにしました。

 

Z会キャリアアップコースの「Adaptie」投入

文法ばかりは、きちんと勉強しないと定着しない。高校生の受験英語で痛感していたものの、高校の分厚い参考書を引っ張り出してきて携行するのもカバン重くなるし、勉強のハードル高いよなぁ、仕事しながらだと日々の疲れに負けそう…という思いがあり、これまでよい方法が見出せませんでした。

そこに、本職の仕事繋がりから表題の「Adaptie」という教材を試させていただけることになったので、有り難くその機会を活用することに。ということで、ここからは使わせてもらった御礼もかねてちょっと宣伝色が入りますが、良いところ課題があるところ含め、なるべく素直な目線でAdaptieを紹介します。


Adaptieの詳細は以下の公式HPに掲載されています。決して安い教材ではないですが、TOEICのスコアアップに悩む人が以下の記事を見たら「使って見たいな」と思えると思います。

www.zkai.co.jp

Adaptieは一言でいうと「スマホ・PC・タブレットのマルチ環境でTOEIC対策ができるweb教材」なのですが、その人の英語習熟度レベルに合わせた問題を出し分けるという「アダプティブ・ラーニング」のエンジンが搭載されているのが最大の特徴。このエンジンを最大限活用するためか、利用開始時には本番のTOEICの半分の時間で半分の量の「Pre Test」を解く必要があります。これが心理的なハードルではあるものの、ここを乗り切るとあとは快適です。

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こんな感じで、TOEIC本番の受験予定日と学習日、そして目標スコアを最初に登録します。ここにPre Testの結果をもとにその人の弱点をシステムが把握し、その人のレベルにあった問題を出題してくるようになる、という仕組みです。感覚的には解き進めていくとだんだん問題が難しくなる、就活のSPI(玉手箱など)に近い感じですが、ある程度連続して間違えると解説ページや解説動画が出てくるのが親切です。

Adaptieの良かったところは、各パートがさらにcan-doリストで細分化されていて、自分の苦手な部分だけをピンポイントで学習できたところ。

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例えばリスニングの「Part1」ならこんな感じ。Part1は写真と合致する英文を答える問題ですが、ブラウザ上で本番さながらの音声が再生されるのでとっても手軽でヨイです。
画面上で▼でマークされているところが自分の目標得点を狙うために必要なレベル。正解を重ねると黄土色のバーが伸びていき、間違えると短くなります。1問正解してもちょっとしかバーが伸びない割に、1問間違えると一気にバーの長さが戻るというなかなかドSな仕様になっております。

今回はこのAdaptieを「Part5」の文法問題対策を中心に使ったのですが、これがとても良かった。何が良いかは、以下の4つに尽きます。
・1問1答形式なので、文法問題を1つ解くとすぐ詳しい解説が見られる
スマホを使って隙間時間に文法問題に取り組める
・必要な時だけ解説動画が出てくるので時間が節約できる
・大量の問題が格納されており、ほとんど同じ問題に出くわすことがない

TOEIC本番は問題が回収され、解説解答も一切公表されません。そのため、ひたすら2時間、問題を解いても「やりっぱなし」になってしまう。一方Adaptieは1問1答形式で、紙の参考書のようにちょっと下や横を見ると答が見えてしまう、ということもない。この辺はICTの良さが明確に出るところです。
4つ目の問題数の多さも、紙の参考書ではなかなか真似できないところでしょう。ちなみに、間違えた問題は「ブックマーク」機能により、間違えた問題だけを後から復習できるようになっています。

またAdaptieでは受講前に行うPre Testの他に、受講期間の中間効果測定として「Half Test」という本番の半分の分量のテストを、仕上げには本番と同量の「Target Test」を受講できます(本番さながらの紙の問題冊子が届けられ、マークシートで解く)。3回のテストを通じて「自分のスコアが伸びている」ことが実感できます。自分の場合は、こんな感じに段階的に点数が上がって行きました。

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試験当日の朝に受験した「Target Test」ではAdaptie上で目標として入力した800点にちょうどミートできたので、心理的にも気持ちよく本番に臨めました。

 

結果どうなったのか

このAdaptieを使って約1ヶ月強、詰め込み学習で文法対策をやった結果はどうだったかというと…。

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ご覧の通り、文法のスコアが平均レベルから平均+13点まで伸び、また語彙も結果として伸びたおかげで、リーディングパートのスコアのバランスがだいぶよくなりました。(一部対策優先度を下げた項目はスコアが下がりましたが…)結果として835 → 855 に20点スコアアップした要因は、リーディングパートの得点が385 → 410 と25点伸びたことが大きかったとわかります。

その前は独学で11ヶ月かけて95点上げたのですが、Adaptieを使った1ヶ月少々でさらに20点上積みできた(しかもピンポイント対策の結果がしっかり出た)というのは、結構すごいことだと思います。しかも、根詰めて1日集中して勉強したとかではなく、基本は隙間時間、長くても連続1時間くらいの学習でこの結果ですから、忙しい社会人にはなかなか良い教材かもしれません。

 

ただ、改善してほしいところもけっこうある

ここまで書くと超ステマ感満載なので、実際に使って見て感じた課題もいかに列挙しておきます。

1. やっぱりネイティブアプリがほしい
 Adaptieの良さは「OSを選ばずブラウザがあれば学べること」なのですが、これは換言すれば「毎回ID/Passでログインが必要」ということでもあります。正直、これがめんどくさい。個人的には、自動ログイン機能が付いて、あとはApp内ブラウザでいいので、スマホタブレット向けにはネイティブアプリがほしいところです。ネイティブアプリならば「最近サボってるだろ勉強せんかーい」的な学習アプリでは当たり前の「通知」も使えますので、この辺は早期にサポートしてほしいところ。

2. 単語帳アプリと連携してほしい
 Adaptieは1問1答形式で、都度けっこう詳しい解説が出てきます。そこには、問題ごとにキーとなる単語もたくさん載っているので、これらの単語をzuknowなり、同じZ会の「速単教室」のフラッシュカードといった「単語帳アプリ」に送り込みたいなぁ、と何度も感じました。画面内のチェックボックスにチェックを入れると、アプリにその単語が送られる、とか。

3. PreTest、Half Test、Target Test の解説がPDFなのが面倒

 せっかくのWeb型なので解説をPDFファイルでどーんと渡すのではなく、正誤情報をもとに自動的に間違えた問題がブックマークに登録されるとか、復習コンテンツが勝手に生成されるとか、そっちの方にアダプティブエンジンを使ってほしいなぁとも感じます。ICTにより英語学習が効率化されているのに、ここだけ紙に近い環境に逆戻りした体験が強いられるのは勿体無い。

4. 質問機能や問題に対するフィードバックを各設問の解説画面内においてほしい

 Adaptieには質問用フォームがあるのですが、画面としては完全独立した別の場所にあるため、わざわざそこに行って質問する心理的ハードルが(特にスマホだと)高いです。単純に「この問題のこの解説は納得がいかん!」というシーンに即「質問!」がしたいところ。また、絶対数は少ないですが、問題に不備があるのでは?と感じる場面が1-2回あったので、修正要望も同じ画面からできるといいなーと思いました。

5. Terget Test(本番直前の仕上げテスト)の結果入力がめんどくさい

 Terget Testは本番さながらのマークシートに答えを記入するのですが、それゆえに解いた後に答えをブラウザ内に1問ずつポチポチと入力するのがひじょーにめんどくさい。ここは、スマホとかのカメラでマークシートを撮影したら回答が自動登録されるとか、そういう機能がほしい。本番直前に登録に時間を使うくらいなら、1問でも多く演習したいのが本音なので。

 

上記のように、テクノロジーを活用した学習の効率化がやりきれていない、惜しいポイントが散見されます。とはいえ、プロダクトとしてはまだ若いので、今後改善が進むことを期待したいです。

今回はお試し受講だったので1ヶ月強に詰め込みましたが、本来は半年〜1年くらいの長期スパンで使うことが前提の教材だと思います。が、短期で結果が出たので、継続的に学習すればスコアは伸びると思います。当たり前の話なのですが、英語はきちんと勉強すれば結果がついてきます。特にTOEICは860くらいまでなら勉強すれば誰でも到達できる、と自分よりはるかに英語ができる友人・知人からもよく聞きます。ただ、勉強の仕方は結構重要だと感じていて、スマホから1問1答形式でTOEICの本番とほぼ同一フォーマットの問題に手軽に取り組めるのは効率的な勉強方法だと感じます。どーしてもTOEICのスコアが伸びない、という方は、Adaptieを使ってみると良いかもしれませんね。