EverLearning!

Z会 野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

新型 iPad は教育用タブレットの新基準になる

 時々、強烈な新製品が、従来の基準を一気に引き上げるということがITの世界ではおきます。日本時間 2018年3月28日、米シカゴで開催された Appleスペシャルイベントで、それが起きました。このブログで幾度となくその価値を伝えてきた「iPad Pro」、その専売特許だったApple Pencil」が、ついに「Pro」の垣根を超えてベーシックモデルでも使えるようになったのです。

 ということで、この記事を読みに来た方で、これまで iPad Pro と Apple Pencil に興味はあったけど、価格がネックでなかなか踏み切れなかった人に最初に結論を言っておきます。Apple Pencil を使ってみたかった方は、今回の新型 iPad は、「買ってよし!」です。実際に私も触ってみてからこの記事を書いてますが、これは廉価版ではなく「iPadの新基準」です。

 で、その「価格」の優位性について。従来は最低でも 69,800円 する iPad Pro ( 10.5インチ 64GBモデルの WiFi 版 ) と Apple Pencil を購入しなければできなかった「手書き」の利便性が、最も安価な 37,800円 ( 新型の 9.7インチ 32GBモデルの WiFi 版 )に Apple Pencil の組み合わせでも享受できるようになりました。その価格差は実に 32,000 円1世代前の 9.7インチの iPad Pro ( 2016年発売モデル ) であれば 69,800 円よりもう少し安かったでしょうが、今回はそれを大幅に下回る価格で、しかもその 2016年 発売の iPad Pro を上回るCPUを備えた端末が、37,800 円で購入できてしまうようになりました。 

 今回の新型 iPad の発表プレゼンテーションでは、最もクリエイティブなツールである Apple Pencil をすべての方にお届けする、というメッセージがありました。下記のビデオの19:50あたりから、その説明が登場します。

 

 私の感覚としては、Apple Pencil を組み合わせた iPad がもたらす体験は、まさに「紙と鉛筆」そのものといっても過言ではなく、場合によってはデジタルの利点が組み合わさり、紙を超える使い勝手を実現するようなシーンも少なくありません。

 Apple Pencil は「クリエイティブ」な用途を強く意識した訴求をしてきたのですが、このブログは教育が中心のブログということもあって、クリエイティブ路線よりも「日常的に使う学びのツール」としての利点を強く訴求してきました。

 私自身は iPad Pro と Apple Pencil を2015年後半に発売された初代 12.9インチモデルから使っています。iPad Pro 歴は早2年半近くになりますが、常に「学習者」として iPad Pro で学んでみた結果をレポートしてきました。その結果として言えることは、Apple Pencil を組み合わせた iPad Pro は、学習用のタブレットとして考えた時には、完全に通常の iPad とは別の製品であり、別次元の使い勝手であり、その使い方も根本的に違う、ということです。

 特に、教育という観点では「手書き」は学びの一つの手段として非常に重要で、私自身も資格試験対策や思考の整理、日常的なメモなどに iPad Pro をほぼ毎日つかっています。

 

 特に「試験勉強用」としておすすめなアプリ「Liquid Text」を紹介したエントリーはNewsPicsにも取り上げられ、過去最大の閲覧数になりました。

 

 が、そうは言っても、iPad Pro + Apple Pencil の組み合わせだと、80,600 円 (税込だと87,000円以上 ) という価格のハードルはなかなかに高く、購入にあたって躊躇する人も多かったと思います。が、それが、従来の最も安い第五世代 iPad と同じ価格で、Apple Pencil が使えるようになったのですから、これで心理的なハードルは一気に下がったと言えるでしょう。

 

 で、実際に新型の iPadApple Pencil を組み合わせて使ってみた印象は、率直に言って「必要十分」でした。一般的な学習用途であれば、今回の 9.7インチ iPad で充分です。CPUの性能も向上し、日常のアプリもサクサク動作しますし、一方でARなどパワフルさが求められる用途にも対応できるレベルが担保されています。iPad の新たなスタンダードモデルと断言して良いでしょう。

 

 加えて、今回のモデルは教育分野向けの特別オファーも用意されているようで、教育機関が購入する場合はさらに2000円程度の値引きが受けられるようです。今後、学校などで導入される iPad は、おそらくこのモデルが基準になってきますので、そうなれば Apple Pencil もセットで導入を検討する学校も出てくることでしょう。そうなれば、その学校の生徒たちは、新世代のノートを常に携え、日々学ぶことができるようになります。先生にとっても、強力な武器になることでしょう。おそらく、今回の新型 iPadApple Pencil を職場が導入してくれら、コピー機の利用頻度は激減、かなりの勢いでペーパーレス化が進むはずです。だって、ほぼ「紙」として使えますからね。

 加えて、iPad 版のOfficeとも言える「Pages」「Numbers」「Keynote」もついにApple Pencil による手書き注釈機能が追加されました。すでに共同編集機能も実現していますので、クラス内でグループがそれぞれの iPad から1枚のワークシートに手書きの成果物をまとめる、ということも可能になるでしょう。そのようなアプリが無料で使えるのも、注目に値します。

 ほかにも、今回の発表では学校や先生向けの教育ツールがたくさん発表されています。一部はまだベータだったり、今後の提供予定とされていますので、これらについてはまた機会を見て本ブログでも紹介したいと思います。

 

 ところで、今回の「スペシャルイベント」では、自分としては iPad の発表と並んで、もうひとつ大きな「事件」がありました。それが、自身の勤め先でもあるZ会が、「プログラミング教育を推進するパートナー企業」という形で紹介されたことです。

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※画像は米Webメディア THE VERGE から引用

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 実際に当方の職場では Swift Playgrounds を用いてアルゴリズムを学ぶ講習会をやっていたり、MacBook と X code を使ってアプリ開発を体験するセミナーをやったり、それを東京都の高校生や私立中高とタイアップして実施したりといった活動をやってきたのです。


 そうした活動が米Appleの耳にも入ったのか、こうしてティム・クックCEOのKeynoteにおけるスライドという形で紹介されたことは大変、誇らしく思います。

 

 引き続き、教育をICTでどのように拡張していくか。このテーマについて、考えていきたいと思います。