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EverLearning!

野本 竜哉 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ。ここでの投稿内容は、所属組織を代表するものではなく、あくまで個人としての情報発信となります。

学校に端末を入れるための仕組み案

2014.1.27 太字斜体部分を追記しました

今日は「そもそもお前は教育とICTを通じて何をやりたいんだ」という、よく聞かれる事について考えを提示したいと思います。まだ荒削りですが、批判や反論、思考が浅い!と喝を入れられる事を覚悟の上で、敢えて思考過程を出力してみます。

結論から言うと
「先生と生徒が本気で楽しめる学校づくりに貢献したい」
です。
ぶっちゃけた話、ICTはその手段として有効だと信じているだけで、目指す姿はこれです。

学校や授業がつまらなくなる理由はいろいろあると思います。自身の経験で言えばいろんな誤解や思い込みからくる人間関係とか、転校による環境変化とかいろいろありましたが、一番辛かったのは授業がわからない事でした。それを解消する手段として私はICTを提案しています。(詳しい経緯は過去の日記に譲ります)

そのため教育のICT化を進めたいと調べていくと、素晴らしい事例が沢山見つかりました。デバイスも「生徒の体験」に最もフォーカスしているiPadが良さそうだということが比較的早くに認識できました。多くの学校がiPadを導入し、これまでとは異なる教育の「拡張」(※注:既存の紙と鉛筆/黒板とチョークは否定はしておらず、これまで出来なかったことを実現する意味で”拡張”)を行い、教育の理想に近づきたいと考えている事も分かりました。

しかし、そこで大きな壁に遭遇します。現時点で認識しているのは2つ。
A:実験的にiPadを導入し、効果測定したくても、費用の捻出が難しい。
B:生徒の体験よりも大人の都合が優先されてしまう。


前者は特に公立の学校だと顕著です。そもそも予算が少ないので、検証用端末の購入自体が難しい。だからといって、袖ヶ浦高校のように入学時に必ずiPadを買ってもらい、持ち込む形式(BYOD)をいきなり実施できるほど世の中の理解も進んでいない。(特に高校なら受験があるが、公立小中はそうではないのでより難しい)
まず1年、いや半年でも良いから、希望する先生の分10台くらいを無料もしくは安価で借り、トライアルしたいという学校は多いと思います。現時点での選択肢は、
 1.どこかの大学と共同研究する
 2.財団などの研究案件に応募する
 3. 先生が自腹を切る
くらいしかない。通常業務に忙殺される学校では1. や 2. はハードルが高いので 3.が取らがちですが、ただでさえ色んな自腹を切っている先生にこれ以上の負担を求めるのは酷だと思います。iPadも安い物ではないですし。
となると期待するのは国や自治体の動きなのですが、どうも最近の事例を見ていると後者の課題が目立ってきます。

誤解を恐れずに言うと、子ども達の事を考えずにWindowsタブレットが導入されていく事を私は警戒しています。カリキュラムや上位学校での施策の連続性などから"学校が判断"し導入するケースは良いのですが、「過去の教材が活かせる」とか「先生や関係者が慣れている」という大人側の都合で、しかも自治体レベルでWindowsタブレットを導入する動きが広がっているのはちょっと違うと考えているのです。有名な佐賀県の事例に加え、熊本県Microsoft”Lync”が教育情報連携ツールとして導入されたニュースもWindowsタブレット導入への布石と読めます。年度内に結果が出る荒川区がどうなるかも注目しています。

なぜWindowsタブレットではダメなのかはまた機会を見て詳しく書こうと思いますが、現状では恐らくiPadWindowsを同時に貸し出したら、恐らく10の学校のうち9くらいがiPadを選択すると思います。現実的には公教育においてはいろんな政治的・商業的な意図が働いてWindowsタブレットiPad = 7:3 くらいに落ち着くとは見ていますが、現時点では子どものための導入という目線で考えると現状ではiPadしかないと私は思っています…。少なくとも、学校単位で検討して選べるならまだしも、選択の余地がなく受け入れるしかない自治体では本当にそれで良いのか、と…。

 

そこでこのAとBの課題をクリアするために最近私が考えているのは、

「企業が資金を出し合って教育ICT向けのファンドのようなものが作れないか」
という事です。特定の企業や団体が運営する財団では、どうしても機種の縛りや意図が働いてしまう部分があると思います。しかし複数企業が集まって出資した基金であれば特定の意図が働きにくい。学校などに比較的低いハードルで「端末を安価に貸し出す」仕組みができれば、色々と可能性が広がるのではないかと考えました。
というのも、今後の少子化社会において、企業が競争力の高い人財を確保するのが難しくなることは間違いありません。どこかで「都合の良い採用条件を並べる募集方式」に限界が来て、将来の子ども達の教育に投資をする方が効率的になる瞬間が来るのでは、と考えているのです。(どのくらいの費用対効果があるのかは当然未来の話なので分かりませんが…)

とはいえ、資金を集めると言っても慈善事業では持続可能なものにはならないので、生徒や先生、学校という組織を「売り物」にならないようにしつつ、現実的な所で企業と学校がWin-Winの関係を築ける仕組みも考えています。
例えば学生ベンチャー企業のForEstさんが作ったデジタル参考書「ATLS」のモデルのように、生徒が参考書の問題を解くのにかかった時間やつまずいたポイントなどのデータを、個人が特定できないような形で統計処理して、参考書/問題集の品質向上に活かすといった仕組みは一つの方法だと思っています。
同様に、授業だけでなく、部活動や委員会活動、登下校、文化祭や合唱等のイベント、自宅での学習など、全国各地で行われているあらゆる活動を統計的に処理する事で、様々な商品開発や世の中が求めている新しい仕組みづくりに活かせるものになると思うのです。これをやる場合は、単純に「どういう勉強をしたら成績が上がった」だけではなく「論理的思考力を伸ばす力」であったり「恊働学習でどれだけ他の人とコラボしたか」であったり、さまざまな既存の「学力」の枠組みでは測れないような要素を定量的に調べる新たな取組みも入れたいなと思っています。

つまり、企業の資金で多くの学校に端末を貸し出し、可能であれば自宅にも持ち帰ってもらって活用してもらい、そこから様々なツールを通していろんなデータを統計的に収集し、企業にフィードバックするような考え方です。そこには個人情報はありません。
最終的にはこうしたデータを通じて得られた成果を学会できちんと発表し、日本に限らず世界に発信していくような動きにできれば日本は新たなステージに立てるかもしれません

これ、正直に言って本気でやりたいんですよね。果たしてこれに資金を出してくれる企業があるのか全く検討はつきません。最も懸念されるのは個々が特定されなくても「子どものデータが取られているなんてとんでもない!」という考えです。ただ私がハッキリ言いたいのは、「大人の事情」や「企業目線」でICTが導入され、生徒が食い物にされる方がよっぽど嫌だということです。教育へのICT導入は「生徒目線」「現場目線」を貫きたい。使われないままになった電子黒板やLL教室などと同じ末路にはしたくない。

国や自治体の方針が必ずしも現場の要望にあっているとは限らないですし、それを正しい方向に導くことも重要ですが、敷居が高い。既存の考え方に捕われない新しい答えを現場と一緒に作って、学校の先生達が身銭を切らなくても、自分たちで工夫し、次の時代の教育を作っていくような仕組みを、なるべく学校の負担が少ない形で実現するにはどこが落としどころかな、というのを考えた現時点での結果が上記です。

一緒にやりたいという人が居るなら声をかけてほしいですし、こういう考えが足りないぞ若造よ、という声も是非欲しいですし、すでにここがそういうのやっているよ、という情報なんかも凄く嬉しいです。

FacebookでもTwitterでも、はてなアカウントを持っている方はコメントでもいいので、是非アドバイス頂ければと思います。今の自分はまだまだ非力ですが、色んな人たちが協力することで、端末が入ってしまえば、そこから先の仕組みは実現出来る自信だけはなぜかあります。

宜しくお願い致します。